中編3
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真夜中の訪問者

 私は小さい頃から体が弱くて何度も入退院を繰り返していました。

 小学校3年生の頃だったと思いますが、私は風邪をこじらせ肺炎になり、

近くの大きな総合病院に入院する事になったのです。

 学校も休みがちだったせいか、特に親しい友人も出来ず、寂しい毎日を過ごしていました。 

クラスの子数人と先生が代表でお見舞いには、来てくれましたが、義理で来ているのだろうと少しひねくれていたような気がします。 

健康な普通の子供達のように外で長く遊んでいたりすると、 突然、倒れてしまったりと、なかなか他の子供達と一緒に遊ぶことも、出来なかったのです。

 入院してから、数日は普通に何事もなく、過ぎていったのですが、

 ある日の夜、昼間、眠っていたせいか、なかなか、寝つけずにいたのです。

 時計を見ると夜中の2時を少し回ったばかりで、辺りはシーンと 静まり返っていました。 

そんな静寂の中、いきなり、コンコンと部屋をノックする音が聞こえてきたのです。

看護婦さんが見回りにきたのだろうと思い、とっさに寝た振りをしましたが、ドアを開ける音もしなければ、

人の気配もありません。

気のせいだったのかなと思い、目を開けようと

すると、

「ねえ!」と誰かが、私の体を揺すり、起こそうとするのです。

 私は、ビクッとしましたが、目を開けてみると、そこには、三つ編みを

していて、水玉のパジャマを着た同じ年頃の女の子が立っていました。

ニッコリと微笑むとエクボの可愛い女の子です。 

私は、なぜ、こんな夜中に知らない女の子が尋ねてくるのか、不思議でしたが、無邪気に 微笑む笑顔に親近感を覚えました。 

その女の子は、「一緒に遊びに行こう!」と私の手を引き、屋上に行き、夜景を見ながら、今までの私では、考えられない程、たくさんの話をしました。 

女の子の名前は、

綾(仮名)ちゃんといって、私と同じ3年生で、なんとなく、一緒に いるだけで、楽しく安心できたのです。

多分、綾ちゃんも私と同じで、

体が弱く、入退院を繰り返す生活を送っていて、お互いの気持ちを理解できたのだと思います。 

私達は毎日、夜中、2時を回ると必ず屋上で楽しい時を過ごしました。

 ある日の事、その日も夜中2時を回り、屋上へ行こうとして、パジャマの上に羽織るものを着ていると、突然、病室のドアが開きました。

綾ちゃんが立っています・・・でも、その日は、いつもと様子が変で、

とても、悲しそうに、涙を浮かべていました。 

「どうしたの?」と、私が聞くと、「ごめんなさい。今日でお別れなの・・・。」とポツリと

一言、そう言いました。

「今まで、一緒にいてくれて、ありがとう。

とっても、楽しかったよ。」

綾ちゃんは、そう言い残すと、スッーと

部屋を出て行き、私は訳がわからないまま、綾ちゃんの後を追い掛けたのです。 

綾ちゃんは、階段を下り、一番奥の部屋へ入っていきました。

私もすぐ部屋の前まで行くと、ドアは開いたままになっており、中をそっと覗いてみると、女性がベットの横で泣いている姿が見えました。

私はそっと中に入り、綾ちゃんを探していると、ベットの上に綾ちゃんが横になっているのを見付けたのです・・・。

後日、聞いた話ですが、綾ちゃんは2年程前から植物人間で動く事も出来ず、喋る事もできなかったのです。

 では、私と一緒に話していた、あの綾ちゃんは、生霊だったのでしょうか?

あの日以来、綾ちゃんに会う事はありませんでした。

亡くなる前に最後に会いに来てくれたのだと、そう思います。

怖い話投稿:ホラーテラー WHITE OUTさん  

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