中編3
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ぽっちゃる

十数年前の話です

わたしは家族で夏に海外旅行に行きました

その国は英語圏でしたが観光で有名で日本人というかアジア系の人も結構いました

最初の何日かは観光地をまわったり買い物をしたりして楽しく過ごしたんですがでもやっぱり海が綺麗ということでみんなで海に行くことになったんです

砂浜は白くサラサラで水は透き通っててほんとに評判どうりの海でした

姉と一緒に海に入って水遊びしたり砂でお城を作ったりしましたが幼いわたしはどうも器用ではなくお城を作るのが苦手で段々退屈になってしまったのです

それを見兼ねた父が近くの土産屋から絵葉書を数枚買ってきました

なにをするんだろう?と不思議がってたわたしに宝探しをしようと言いました

父が言うには6枚の葉書を隠すのでそれを見つけてそれぞれに書いてある文字を並び替えてひとつの言葉にするというものです

そしてあんまり遠くには隠さないので母がいるところが見えなくなるまで遠くへ行かないこと、海に隠さないから海に入らないことと約束させられました

葉書の隠し場所は石の後ろや自分のパラソルの下などちょっとした目印があるところで少し時間がたったあとには姉はすでに3枚なのに対しわたしは1枚しか見つけていませんでした

それが悔しくて悔しくて絶対あと2枚は見つけてやると意気込んでいました

葉書がありそうな場所はさがしてしまったし、どうしようと思っているとき少し先にある洞窟に気付きました

ぎりぎり母が見えるか見えないかだったし、もうあるところは洞窟くらいしか思いつかず行くことにしました

洞窟に近づくと少し普通の洞窟とちがうのに気付きました。なんていうか上手く説明できませんが上が吹き抜けていて少し広間みたいになっていました。光が入るので暗くなく、結構綺麗でした

なんか変だなって思ったけど葉書を捜していると、1枚見つけました

でも、どこかおかしいんです。普通は観光地の絵葉書は海とか夜景とか綺麗な風景などのものですがその絵葉書はただ黒いのと赤いのがぐちゃぐちゃって感じでした

後ろをみたらなんの文字かわからなかったけど書いてあったのでやっぱり父が用意したものだったんだと思いました

でも、やっぱりその葉書をみてると怖いやら不気味やらで持って帰りたくなかったんです、それに見ているうちにこの場にいるのも嫌になって母の元へ一刻もはやく戻らなきゃと焦って葉書を持たず戻りました。

戻ると遠くに行ったことを怒られました。でも洞窟に葉書があったことを伝えるとそんなところには置いてないとまた怒られてしまいました。

結局姉が残り全部見つけてしまっていて、葉書は全部綺麗な海や風景の葉書でした

少しふて腐れながらまた不格好な砂のお城を作っていると可愛い金髪の女の子が近くにきました

「ねぇ、はやく行こうよ」

と言われました。その子は日本語で喋りましたが町には日本語の看板もたくさんあり、町の店の人も日本語を話せたので不思議に思いませんでした。

わたしがどこに?と尋ねると

「みんな待ってるよ。もう一回食べなきゃ」

わたしはこの子と一緒になにか食べた記憶もありませんし会ったのも初めてでした。訳がわからず黙っていると

「ぽっちゃるだよ?あいつすごく性格悪いんだー!でもみんな欲しいの」

とケラケラ笑いながら楽しそうに言ったのが気味が悪かったです

下向きながら 知らないよ と答えるといきなり震えながら睨まれ

「欲しがってたでしょ!!はやく来てよね」

と怒鳴られどこかに行きました

わたしは怖くなってそれからずっと母のくっついていました

そうしてるうちに旅行も終わり日本へ帰国しました

最近まで全く覚えてなく忘れて生活してましたが2、3週間前からよく夢に見るので不安になってしまいます

あまり怖くなくオチもないですが似たような体験をしたかたいらっしゃいますか??

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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