短編2
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同窓会に来た住職の霊

私達、家族4人で父の同窓会を兼ねて、夫の田舎である和歌山県に旅行に行った時の話です。

夫の実家は古くから旅館をしており、

同窓会をするには、もってこいの環境でした。

夫は久しぶりの実家と言う事もあり、酒も進み、御機嫌のようでしたが、

夜も11時を回り、私達は先に休ませて貰う事にし、部屋に戻りました。

どれだけ時間が経ったのか分かりませんが、お経らしき声で目が覚めました。

その声は力強く、ハッキリと耳に聞こえてくるのですが、声の出所は全く、見当もつかなかったのです。私は気味が悪くなり、夫を探したのですが、まだ戻ってきてはいない様子で、呼びに行こうと体を起こそうとした時です。

ピシッという音がして、全く、体が動かなくなりました。

私は恐怖の余り、ガタガタ震え、目を閉じていましたが、ドアの開く気配がしました。

夫だと思い、目を開けると、そこには、夫ではなく、見た事もない住職らしき人が立って、ひたすら、力強い声でお経を唱えています。

ただ、表情は、

どことなく悲し気なのです。その住職は、お経を唱えながら、私達の布団の 周りを何回か周って、また、ピシッという音がしたかと思うと、住職は壁の中へスゥーと消えて行きました。

私は体が動くようになり、起き上がって、何が何だか分からず、とりあえず、夫を呼びに行きましたが、夫は、酔っていて、全く、取り合ってもらえません。

仕方なく、子供達を放っておく事もできず、部屋に戻り、我慢をして、布団を頭からかぶり、眠る事にしました。

どうにか、朝を迎えましたが、昨晩の事が気にかかり、気の重い目覚めです。

でも、今日は同窓会の準備で、そんな事も言ってられず、朝からバタバタしていて、いつの間にか、昨晩の事はすっかり忘れていました。

夕方くらいから、夫の友達が、ゾロゾロ、集まるようになり、私は、料理等を運んでいたのですが、丁度、玄関の前を通った時、ガラガラッと開いて、二人が「こんにちわ。」と入ってきたのですが、その後ろに、昨晩の住職が立っていたのです・・・。 

私は驚きの余り、固まっていたのですが、

夫が二人に気付き、話し掛けてきたので、私は、その場から逃げ出す事に

したのです。 

同窓会も始まり、私はお酌をしておりましたが、ある遺影に気付きました。

昨晩の住職なのです。 

私は「この方は?」と聞くと…

「ああ、一週間前に交通事故で亡くなったんだ。 同窓会、楽しみにしてたのに、残念な話だよ。」

      

怖い話投稿:ホラーテラー PARALLELさん  

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