短編2
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寝覚めの悪い話

夢を見た。

夢のなかで自分は、とある場所に立っていた。

そこは言い表すならまさしく地獄のような、火山のような、赤黒く薄暗い洞窟だった。

目の前には見知った顔が行列を成している。

死んだ爺ちゃん、死んだ叔母、死んだ小学校時代の恩師に死んだお向かいのおじさん。

彼らは自分の前に行儀良く並んでいる。

「死んだ順番に」並んでいる。

やがて、列は前進をはじめた。

自分はその最後尾をついて行く。

ゆっくり、ゆっくり進む。

とある地点で、先頭を歩いていた母方の爺ちゃんが立ち止まった。

列も一旦停止。

皆、無表情で爺ちゃんを見ている。

爺ちゃんはこちらに向き直り、しばらく無表情でいた。

しかし一瞬にして口元だけがガバッと開き、笑顔を作る。

次の瞬間、爺ちゃんは消えた。

その次は叔母だった。

彼女も爺ちゃんと同様に立ち止まり、同様に笑い、同様に消えた。

恩師も勿論、同じくして消えた。

そしてついに、自分の前には、お向かいのおじさんだけ。

背後に何らかの気配を感じる。

振り返ることは出来ず、またそれを考えることすらしなかった。

が、おそらくは自分の遙か後方にも、人は続いていることだろう。

おじさんが立ち止まった。

ああ、ついに自分が先頭に。

そう思った瞬間、おじさんはガバッと笑った。

そして初めて、喋った。

「今日はここまで」

目の前が真っ暗になり、目が覚めた。

今朝の話だ。

怖い話投稿:ホラーテラー 河南童子さん  

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