中編3
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遠吠えの訳

一般的に言えば猫と犬はあまり仲が良くはない。

お互い誰か人間が意図的に一緒にさせていない限りは生活パターンや習性、生物学的にも違い過ぎるくらい違う。

 犬を飼っていたある老人がいた。真っ白なアキタイヌ。

精悍な顔つきで凜とした立派な体躯で、太い前足でどんな斜面でも駈け登れるような壮健な身体。

ありきたりだが「シロ」と名付けられて、大変可愛がられていた。

田舎暮らしの老人がシロを連れてばあちゃんに相談に来た。ちなみにばあちゃんは見える人です。

なんでも犬が夜中になると突然起き上がり、月を観てるらしい。

そして、狼のように遠吠えをする。決まって月の出てる夜はそれが続くそうだ。

老人は元教師で割と宗教や信仰には無頓着だったが、ばあちゃんも昔教師をしていた経験があり、当時からばあちゃんが不思議なちからがあるのを知っていた。

老人は退職してから伴侶も亡くし、犬と二人っきりだったから今回のような犬の異変が気になって仕方なかったらしい。

ばあちゃんは見たり、聞いたりは出来るけど、畜生(表現は悪いですが、どんなに愛しく感じても畜生は畜生と決まっているらしいです。)の言葉は分からないそうです。

分からないから、まずは人間の霊に通訳をしてもらって話す事があるそうです。

ばあちゃんは亡くなった老人の奥さんの仏壇まで行って聞いてきました。

奥さんはシロを知っていた為意志の疎通が多少出来たみたいです。

シロは昔ここに住んでいた猫の霊に呼ばれていたそうです。

その猫は昔奥さんが生前大変可愛がっていたけど、奥さんの他界と時を同じくしていなくなってしまった猫でした。

老人は残された猫と、とはならず、ひとりになりました。この方はどうしても猫は嫌いで、若い時からどうしようもなかったそうです。

ただ、奥さんが可愛がってるから仕方なしに黙認していたそうです。

ちなみに猫嫌いなのはこれまた霊的に関係した話があるそうですが、長くなるので割愛します。

そんなこんなで奥さんの後を追うようにこの世を去った猫くん。

しかし死んで霊となっても大好きな奥さんとは会えなかったみたいです。

この猫が死んだ場所が悪かったようです。

昔昔のまた昔にそこは交差点のようになっており、4つ辻になっていて、現在は道はないけど、神様通り道になっているらしいのです。

「霊道」って聞いた事ある人は結構いらっしゃるだろうと思います。

同じように神様が往来する道が稀に存在するそうです。

例えば神社の参道の真ん中とかってのがそれにあたるそうです。

神様の道に当たったそうで死んでから動けなくなった猫くん。

ずっと困っていた所にシロが来た。

そして神様の力が少しだけ弱くなる月の夜に波長の合うシロに救いを求めていたそうです。

波長が合う理由はお互いが可愛がって貰っていた二人が夫婦であった。

ではなく、二匹とも鰹節とあごのやきが大好きだったからだそうです。あごのやきとは魚のつくねみたいなはんぺんみたいなもんです。

ばあちゃんは老人に理由を話し猫の供養をして、神様の道に祠を建てて、道を避けてもらうようにしました。

 シロは全く吠えたりしなくなりました。

しかし毎晩老人に擦り寄ってくるそうです。猫が身体をすり寄せる動作をするように。

きっとお礼を言いたかったんだと思います。

僕もその犬に会いたかったんですが、どうも僕には狐が憑いてる(神様?らしい)ので犬との相性は最悪らしく却下されました。

犬も猫もやはり畜生。

畜生だからこそ食べ物への思い入れは人より遥かに強い。

だから犬猫の供養には必ず食べ物を供えると喜ぶそうです。

動物を飼っている方は寿命の短いペットの死後の、ほんのささやかな供養の為にも、生きている今から「好物」くらいは知っておくべきだ。

とばあちゃん談

長くなりましたが文章力のない僕の話を聞いてくれてありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 松葉さん  

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