中編3
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セミの鳴き声

以前mixiには載せた事がある自分の友人の兄弟から聞いた話し。長文のため2つに分けます。

この兄弟の兄と私は高校時代にバンドを組んでいて、一つ下の弟をドラムとして彼から紹介され兄弟ぐるみの仲になりバンド練習後彼らの家に泊まった時に弟から聞いた話です。

男兄弟って少なからず上下関係ができるようで、彼らが横浜のアパートに越して着た時も、共同部屋にある二段ベッドの上段と下段どちらに寝るかで兄が主導権を握った。

兄が選んだのは下段。なぜなら上段は天井に近いため、起きる際に真上に身を起こすと頭を打ってしまうためだ。 泣く泣く弟は上段になり窮屈な思いを余儀なくされていた。

ある夏の日の夜、弟が夜中にバイトから帰宅し、部屋に入ると既に兄は下段でいびきをかきながら寝ていた。そして、キッチンを挟んだ反対側にある両親の部屋からも寝息が聞こえていたため、弟は気を使ってか音を立てないために、風呂にも入らず服を脱ぐとすぐに上段のベッドに入り、疲れのためかすぐに寝付いた。

何時に起きたのかは覚えてないようだが、ふと弟は目が覚めた。相変わらず兄のいびきが下から聞こえてくるためまだ夜中だと思い、また寝付こうと目を閉じたが、ある音が理由で弟は真っ暗な部屋で目を開いたそうだ。 と言うのもあまりにもうるさいセミの鳴き声が聞こえたからだ。そして明らかに家の中にいる。出所を音から探ると隣部屋にあるキッチンからだった。

弟は頭をぶつけないように首だけを上げ、足元側にあるキッチンと自室を隔てたドアを見た。 するとドアがほんの数センチ開いていて、そこから光がもれていたので、弟はキッチンの電気を消し忘れた事に気づき、セミ退治を兼ねて起き上がろうとしたが変なものを見たためそのまま硬直した。

変なものとは自室を覗く人の両目でドアの隙間の上部に2つ並んでいた。こんな風に見えるのは首を直角に傾げるしか不可能で、弟は急に恐ろしくなり首だけを上げたままその目と見つめ合う状態で固まってしまった。

しかし、セミの鳴き声が急に止んだため、ハッと我に返えるとすぐに目を閉じ布団に潜り、布団の中から小声で兄を起こそうとした。が、兄は相変わらずいびきをかいたまま起きる気配もない。

そんな時、布団越しに部屋が少し明るくなった事に気づいた。どうやらドアが開いためキッチンからの光が入ってきてるよう。

それと同時にまたつんざく様なセミの鳴き声。 どうやら鳴き声の主は先程見た『何か』のよう。

段々と鳴き声が自分に近づいて来ている事に気づくと無意識に初めて念仏を唱えいた。

するとパッと音が止み部屋には兄のいびきだけが聞こえるようになり少しばかり安堵した弟は布団の横の隙間から外を覗いてみることにした。

そこには細くそしてこちら側に曲がった腰が見えた。明らかにおかしいのが天井すれすれの二段ベッドの真横に腰が見える事。

あり得るとすれば異様に足が長く背が高いものであること。

弟は再度襲って来た恐怖に震え、固く目をつぶり固まった。

どうやらその何かは上半身を自分の真上にかがめてこちらを覗き込んでいる様子

そんな時真下から

『フガー!!』

と兄の声。

それと同時に硬直が解け、弟はその何かに布団越しにパンチを食らわした。たたみかけるようにさらに布団をはぎ殴りかかるとそれを間近に見た。

その何かは異様に身長の高い長髪の人間で、顔は男とも女とも言えない顔だった。

その何かはセミのような鳴き声をあげシャカシャカと兄の寝るベッドの下に入っていった。

弟は半狂乱になりながら兄を殴り起こし、泣きながら事情を話した。兄は夢だと言い張り弟を殴るとまた寝てしまった。

結局そのあとに出現する事はなかったが、家に2つ変化が訪れた。

一つはその日からゴキブリが一切出なくなった事。そしてたびたび一家が寝ている夜中に下の住民が足跡がうるさいと苦情を言いにやってくる事。

これで話は終わります。

怖い話投稿:ホラーテラー リオンさん  

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