短編2
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真赤なスカーフ

カナダで聞いたハイチの話

ある港町で働く若い娘がいた。

彼女はいつも首に真赤なスカーフを巻いていた。

この町を仕切る網元の下働きだった。

無口で、表情乏しく、仕事も遅かったが、黙々と働くため、

周囲からはそれなりの好意を持たれていた。

その娘に邪な欲望を抱く男が一人。

この辺りの札付きで、

なにかとセコイ問題を起こしては、煙たがられていた。

男はある夜、行動を起こした。

網元の屋敷に忍び込むのは難しいが、

下働きの長屋までは、警備がいない。

そして、長屋の彼女の部屋に忍び込むことに成功した。

男は彼女を押さえつけ、衣服を剥ぎ取っていく。

男が押さえつけても、声も上げず、

うつろではあるが目を開けていながら、何の抵抗もしなかった。

彼女を覆う最後の一枚に男が手をかける、

首の、真赤なスカーフに。

   「コロリ。」

まるで最初から別々の存在であったかのように、彼女の胴体から首が離れて落ちた。

翌日、その話を半狂乱で道行く人に話しかける男がいた。

男の話を信用する者など無く、次の日には町から姿を消していた。

居たたまれなくなって逃げた。

とか、

網元の若い衆に連れて行かれるところを見た。

とか、

ウワサが立ったがいつしか忘れ去られていった。

同時に、彼女も街から姿を消した。

半年ほど経ったある日、その男を見たという話があった。

ここの網元の親戚が仕切る港町で働いているという。

無口で、表情乏しく、仕事も遅かったが、黙々と働いていた。

あの若い娘も同じ町で見たいう。

同じように、無口で、表情乏しく、仕事も遅かったが、黙々と働いていたという。

不釣合いな二人だが、周囲からは夫婦だとおもわれていた。

なぜなら、

おそろいの真赤なスカーフが二人の首には巻かれていた。

怖い話投稿:ホラーテラー プラハさん  

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