短編2
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旅立ちのとき

ついに今日、この瞬間がやってきた。

おそらく私の人生にとって最大のイベント…

になるのかな?

でも、いざとなるとやっぱり緊張しちゃうもんだね。

今日は私の晴れ舞台。

大好きなあの人と結ばれる儀式の日……

私は飾り気のない一室で一人静かにその瞬間を待った。

まだ…少し時間があるみたいね。

私は自分が生まれてから今日までのことを振り返った。

遠く過ぎ去った想い出達に別れを告げよう。

家族、故郷、友人、ご近所のおじさん、おばさん、学校の先生、職場の仲間達…

明日にたいする心配などまったくなく、毎日が新鮮な輝きを放ち幸せだった子供時代。

たくさんの友人、学校の勉強、部活動、初恋、失恋、受験、反抗期…

楽しいこともいっぱいあったけどそれ以上に悩みも多かった学生時代。

受験勉強から開放され、自由に青春を謳歌できた大学時代。

憧れの職場への就職。

社会人としての経験を積み成長する日々。

そして、彼との出逢い。

それから……

今まで…いろんなことがあったなぁ。

履き潰してきた靴と同じくらいの数の夢と希望、失敗と挫折達。

繰り返されてきた数多の出会いと別れ。

そして人生の岐路に立った時、いつも脳裏をよぎるのは家族の顔。

お父さん

お母さん…

私をここまで育ててくれてありがとう。

しばらく離ればなれになっちゃうけど…またすぐに会えるよね。

お兄ぃ…

へへっ 悪いね。

ひと足 お先に♪

さて…と、そろそろ時間かな?

神父様が私のために祈りを捧げにやってきてくれた。

悪くないわね。

まるで教会みたい。

私はガラにもなく 神様 ってものを信じてみる気になった。

もう大丈夫…

覚悟はできてるから。

大きく息を吸いこみ静かに目を閉じて、しっかりと自分自身に言いきかせた。

……時間だ。

さぁ、行かなきゃ!

私は力強く、新しい旅路への一歩を踏みだした。

どこか…遠くのほうで鐘の音が聞こえたような気がした。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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