中編4
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深夜の便所

去年の春の話。

久々に家族で里帰りをした。

生まれてから小学六年生まで私は北陸地方の山の方に住んでいた。

父の仕事の都合で他府県に転校する事になった。

その時は悲しかったが、今となっては、いい思い出だ。

何年ぶりかな…10年ぶりか…。

大自然に囲まれた村は、懐かしくまるで変わっていない風景に少し嬉しさも感じた。

着いた当日はクタクタになり家からは一歩も出なかった。

家から車で12時間もかかるとは…。

その日は昔から住んでいる親戚のお家にお邪魔していた。

都会の人とは違い、なんとも穏やかな人だ。

夜御飯も都会とは比べ物にならないくらい新鮮で美味しかった。

スーパーで売っている割引している刺身が、私達には高級品のように思えた。

そんな緩やかな1日が過ぎ次の日、普段休みの日はアラームをかけていないので昼過ぎまで寝ているのだが、良く眠れたのか、朝7時ぐらいに目が覚めて、何とも気持ちの良い朝を迎えた。

チュンチュンと外から聞こえる鳥の囀りが私の心を和ました。

少し散歩でもしようと思い、服を着替えて外に出た。

太陽の光が体中に染み渡るようだ。

久々に村を歩いていると、懐かしさで涙が出そうになった。

そうこうしているうちに、私は学校へ着いた。

祭日ということもあり、誰も居てなく、校門も閉まっていて中に入ることが出来なかった。

入りたかったが、まっしゃーないか!と、いうことで諦めがついた。

学校の横に公園があった。

昔から何もかわっていない。

公園には子供が数人遊んでいた。

円になって何かしてるようだ。

私は興味本位で見に行く事にした。

すると子供達が私の方を指差し、どんづる?(ここは曖昧)様だ~と叫んでいた。

頭の中が?マークでいっぱいだった。

すると1人の子供がお兄ちゃん目を閉じて~いいって言うまで開けちゃだめだよ~、と半強制的に言ってきた。

まぁ子供達の遊び相手になるぐらいだ、暇だし付き合ったやるか!と、目を閉じた。

子供達が私の周りを囲む。

するとお経のような物を唱えだした。

え~~?

何これと思い目を開けようとするが開けられない。

体が全く動かない。

何故か恐怖心は無く、何故か居心地が良かった。

子供達の声が遠退いていくのがわかる…。

ばっ!!!

目を覚ますと見覚えがある所にいた。

学校だ…。

辺りは日が沈んでいて、なんともいえぬ不気味さを醸し出している。

いったいどうなってんだ…

私は不安にかられた。

取り敢えず家に帰らなくちゃという思いが頭をよぎる。

教室を出ると、電気1つない暗い廊下が口を開けていた。

ヒュオオオォォォと隙間風の音がなる。

ゾクゾクっと指先から鳥肌が立った。

訳がわからない展開に動揺していたが、恐怖心の方が遥かに勝っていた。

ここは学校だ。

しかし何階だ。

なにもわからない。

電気もつかない。

暗い。

ほとんど半泣き状態だった。

進しかない。

暗い廊下を歩いていく。

本当にニメートル先は闇だ。

コッコッコッコッコ。

自分の足音が嘘みたいに響いている。

階段らしきものが見えてきた。

それを降りていく。

また暗い廊下が顔を出す。

何も無いっていうのが、こんなに怖いとは思わなかった。

ぎゅ~~~!

怖さの余り腹が痛くなってきた。

こんな所で便所に行けるはずがない。

しかし運悪く隣に便所が。

我慢の限界が来た。

トイレに駆け込む。

この時は、恐怖どころではない、そんな事はすっ飛んでいた。

暗闇の中、便器を捜すのに必死だった。

便器に座り限りない一時を過ごしホッとしたのも束の間。

全てを思い出したかのように恐怖が込み上げてきた。

早く出ようとしたその時!!

いーち、にーい、さーん、しーい、ごー、ろーく

隣から子供の声が聞こえてきた。

ゾゾゾゾと鳥肌がたつ。

2人いるのだろうか、数を数えていない方は、終始笑っているようだ。

その笑い声も不気味で、ちびまる子ちゃんの野口さんみたいな笑い方だ。

クックックックッ。

私は見つからない様に息を殺し、ずっと静かにしていた。

その間は、生き地獄のようだった。

きゅうじゅうご、きゅうじゅうろく、きゅうじゅうなな、きゅうじゅうはち、きゅうじゅう…。

ひゃーく。

ピタリと声がやんだ。

笑い声も。

辺りの空気がピーンと重たい空気に変わった。

ドッドッドッド。

心臓の鼓動が早くなる。

その時だ、私の個室のドアのノブをガチャガチャとしだした。

ドンドンドン!!

ドンドンドン!

私はただ便器に座っていた。

音がやんだと同時に、ドアの下の10センチぐらいの隙間から、白いてがニュルと入ってきた。

手の次は肩、頭、背中、足グニャーっと入ってきた。

ギャーーーー!!と叫んだ瞬間気絶した。

目が覚めると、まだ学校の中にいた、しかし周りは明るくなっていた。

外に出てみるとそこは、学校の地下で、立ち入り禁止と張られた便所だった。

Bダッシュで家に帰った。

親にはさんざん怒られたが、昔の友達の家にいっていたと、嘘をついた。

しかしあの時の顔を見ていたらと思うとぞっとする。

終わり

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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