去年の春の話。
久々に家族で里帰りをした。
生まれてから小学六年生まで私は北陸地方の山の方に住んでいた。
父の仕事の都合で他府県に転校する事になった。
その時は悲しかったが、今となっては、いい思い出だ。
何年ぶりかな…10年ぶりか…。
大自然に囲まれた村は、懐かしくまるで変わっていない風景に少し嬉しさも感じた。
着いた当日はクタクタになり家からは一歩も出なかった。
家から車で12時間もかかるとは…。
その日は昔から住んでいる親戚のお家にお邪魔していた。
都会の人とは違い、なんとも穏やかな人だ。
夜御飯も都会とは比べ物にならないくらい新鮮で美味しかった。
スーパーで売っている割引している刺身が、私達には高級品のように思えた。
そんな緩やかな1日が過ぎ次の日、普段休みの日はアラームをかけていないので昼過ぎまで寝ているのだが、良く眠れたのか、朝7時ぐらいに目が覚めて、何とも気持ちの良い朝を迎えた。
チュンチュンと外から聞こえる鳥の囀りが私の心を和ました。
少し散歩でもしようと思い、服を着替えて外に出た。
太陽の光が体中に染み渡るようだ。
久々に村を歩いていると、懐かしさで涙が出そうになった。
そうこうしているうちに、私は学校へ着いた。
祭日ということもあり、誰も居てなく、校門も閉まっていて中に入ることが出来なかった。
入りたかったが、まっしゃーないか!と、いうことで諦めがついた。
学校の横に公園があった。
昔から何もかわっていない。
公園には子供が数人遊んでいた。
円になって何かしてるようだ。
私は興味本位で見に行く事にした。
すると子供達が私の方を指差し、どんづる?(ここは曖昧)様だ~と叫んでいた。
頭の中が?マークでいっぱいだった。
すると1人の子供がお兄ちゃん目を閉じて~いいって言うまで開けちゃだめだよ~、と半強制的に言ってきた。
まぁ子供達の遊び相手になるぐらいだ、暇だし付き合ったやるか!と、目を閉じた。
子供達が私の周りを囲む。
するとお経のような物を唱えだした。
え~~?
何これと思い目を開けようとするが開けられない。
体が全く動かない。
何故か恐怖心は無く、何故か居心地が良かった。
子供達の声が遠退いていくのがわかる…。
ばっ!!!
目を覚ますと見覚えがある所にいた。
学校だ…。
辺りは日が沈んでいて、なんともいえぬ不気味さを醸し出している。
いったいどうなってんだ…
私は不安にかられた。
取り敢えず家に帰らなくちゃという思いが頭をよぎる。
教室を出ると、電気1つない暗い廊下が口を開けていた。
ヒュオオオォォォと隙間風の音がなる。
ゾクゾクっと指先から鳥肌が立った。
訳がわからない展開に動揺していたが、恐怖心の方が遥かに勝っていた。
ここは学校だ。
しかし何階だ。
なにもわからない。
電気もつかない。
暗い。
ほとんど半泣き状態だった。
進しかない。
暗い廊下を歩いていく。
本当にニメートル先は闇だ。
コッコッコッコッコ。
自分の足音が嘘みたいに響いている。
階段らしきものが見えてきた。
それを降りていく。
また暗い廊下が顔を出す。
何も無いっていうのが、こんなに怖いとは思わなかった。
ぎゅ~~~!
怖さの余り腹が痛くなってきた。
こんな所で便所に行けるはずがない。
しかし運悪く隣に便所が。
我慢の限界が来た。
トイレに駆け込む。
この時は、恐怖どころではない、そんな事はすっ飛んでいた。
暗闇の中、便器を捜すのに必死だった。
便器に座り限りない一時を過ごしホッとしたのも束の間。
全てを思い出したかのように恐怖が込み上げてきた。
早く出ようとしたその時!!
いーち、にーい、さーん、しーい、ごー、ろーく
隣から子供の声が聞こえてきた。
ゾゾゾゾと鳥肌がたつ。
2人いるのだろうか、数を数えていない方は、終始笑っているようだ。
その笑い声も不気味で、ちびまる子ちゃんの野口さんみたいな笑い方だ。
クックックックッ。
私は見つからない様に息を殺し、ずっと静かにしていた。
その間は、生き地獄のようだった。
きゅうじゅうご、きゅうじゅうろく、きゅうじゅうなな、きゅうじゅうはち、きゅうじゅう…。
ひゃーく。
ピタリと声がやんだ。
笑い声も。
辺りの空気がピーンと重たい空気に変わった。
ドッドッドッド。
心臓の鼓動が早くなる。
その時だ、私の個室のドアのノブをガチャガチャとしだした。
ドンドンドン!!
ドンドンドン!
私はただ便器に座っていた。
音がやんだと同時に、ドアの下の10センチぐらいの隙間から、白いてがニュルと入ってきた。
手の次は肩、頭、背中、足グニャーっと入ってきた。
ギャーーーー!!と叫んだ瞬間気絶した。
目が覚めると、まだ学校の中にいた、しかし周りは明るくなっていた。
外に出てみるとそこは、学校の地下で、立ち入り禁止と張られた便所だった。
Bダッシュで家に帰った。
親にはさんざん怒られたが、昔の友達の家にいっていたと、嘘をついた。
しかしあの時の顔を見ていたらと思うとぞっとする。
終わり
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話