これは、私が小学生の頃の話です。
私は、小さい頃、夢遊病だったらしく、意識がないまま歩くことが多かったみたいです。
あとは、ボーっと突っ立っていたり・・・。
最初の頃は家族も心配していましたが、あまりにも頻繁になるため、家族ももう慣れっこになっていました。
翌日の朝に、母親から、「また歩いていたよ」なんて、よく言われていたものです。
ある日、学校の仲の良い友達に夢遊病のことを、面白半分で言ってみました。
友達は少し気味悪がっていましたが、友達も面白半分で「寝てる時間をビデオで撮ってみてよ」と言って来ました。
正直、自分自身、寝ている間にどのような行動をとっているのか興味があったため、ビデオを設置して撮ってみることにしました。
ちなみにビデオカメラは友達に借りたものです。
ビデオを借りた日の夜、自分のベッドが良く見える位置を確認し、カメラを設置して就寝しました。
少し気持ちも昂ぶっていて、その日はなかなか寝れませんでした。
幽霊とか映っていたらどうしようとか、怖い妄想をしていたのです。
そんな妄想をしていたのですが、いつの間にか寝ていました。
翌日の朝になり、母親に起こされて、目を覚ましました。
ビデオのことを母親に聞かれたので、一連の流れを説明しました。
母親も興味があったのか、一緒にビデオを見ることに。
そこに映っていたのは、寝付けずにモゾモゾしていた自分が映っていただけでした・・・。
母親と一緒に自分の姿を見て、「寝てないじゃん」なんて言いながら、二人で笑っていました。
このことを友達に伝え、カメラを返し笑い話でその日は終わりました。
更に月日がたった頃、その友達から電話がかかってきました。
「前に撮ったビデオって途中で誰かが撮影止めてるみたいだよー。」
ビデオの中身を整理している時に、友達が最後まで見て、連絡をしてくました。
そんなことはない、と友人に伝えたのですが、次の一言が返っていきました。
「なんかビデオが止まる前に手が伸びてきてるの見えるけど、親が止めたんじゃないの?」
親にカメラの件がばれたのは、撮影した翌日の朝だし、途中で止めることのできるのは自分だけのはずなのだが・・・。
その時は、撮影した日から1ヶ月程過ぎた頃で、その当時の記憶自体、曖昧でした。
そして、そのビデオを確認させてもらうことに。
そのビデオを確認すると、確かに最後の部分に誰かの手が伸びてきて撮影が止まっていました。
いったい誰が撮影を止めたのだろうか・・・。
それから、犯人探しするため、友人と探偵団を組み捜査を開始することになりました。
僕たち二人は探偵団を作って捜査をすることになった。
捜査といっても、ビデオを何回も見返すことくらいしかなかっが・・・。
そこで、僕たちが考えたのが、ビデオに撮られていない間には何が起きているのかということだった。
そこで、ビデオをもう一台増設し、撮影をすることに。
二台とも消されてしまう可能性もあったが、とりあえずは試してみることになった。
・・・・・そして、翌日。
早速、ビデオチェック。
まずは、いつも消されてしまうビデオをチェックした。
そこに映っていたのは、やはり手が伸びてきて消されてしまう映像が・・・。
そして肝心の2台目のチェック。
2台目のカメラは1台目のカメラが見える位置にセットしてあった。
そこに映されていたのは、僕がベッドから起きて動いている姿だった。
その映像には、1台目のカメラを消している様子はなかった。
なぜ、1台目のカメラの録画がきえてしまったのか。その謎が残ったまま、更に録画した映像は続いた。
ベッドから起きて部屋の真ん中に立った僕は、そのまま数分間、ボーっと立ったままだった。
そして、時間がたった後、自分の勉強机の方を向き、なぜか手を合わせていてお祈りをしているような感じだった。
そのお祈りが終わった後、頭に手を当て、敬礼をしていた。
そして、ベッドに帰っていった・・・。
この映像を見て、意味が分からなくなった僕たち。
誰が1台目のカメラを消したのか、なんで机に向かって敬礼したのか、意味がわからなくなりすぎて、捜査を続行する気が失せた。
友達は、まあ面白いもの見れたからと少し満足気にカメラを回収して帰っていった。
その後、やはり自分の身に起きていることだし、なんとか解決したいと思い、まずは机の方に何があるのかを調べてみた。
机の上にあるのは、学校の教材や筆記用具、ゲーム機におじいちゃんの形見の懐中時計。
明らかにこの中で、怪しい物といえば、形見の懐中時計。
これが原因だと、思うしかなかった。もし、それが原因でないと、本当に僕の部屋に幽霊がいるということだと思ったからだ。
そこで、おばあちゃんに懐中時計の話について聞いてみた。
この懐中時計は、おじいちゃんが生まれた時の記念として、おじいちゃんの親戚からのもらい物らしい。
おじいちゃんは、その時計をすごく大事にしていたらしく、動かなくなっても、毎日綺麗に磨いていたようだ。
そこまで、綺麗にするのも理由があったらしく、おじいちゃんの親戚の方は昔の戦争に行って亡くなった人らしく、お墓もないという。
どうやらおじいちゃんは、お墓代わりにその時計を綺麗に磨き、お祈りをしていたと、お婆ちゃんは言っていた。
そうだったんだと、お婆ちゃんの話を聞きながら、自分の手の中にある懐中時計を見つめていた。時刻は12時23分を指していた。
この時間にこの時計は、時を刻むことをやめたのだ。その時間は、偶然にもお爺ちゃんの生まれた日だった。
この話を聞いてから、形見として貰ったからには、自分もお爺ちゃんの意思を継がないといけないのかなと、幼い心ながらに思っていた。
そして、その日は寝る前に懐中時計を磨き、お祈りをしてから寝ることにしてみた。
そして、翌日学校に行く前に懐中時計を手に取り、心の中であいさつをした。
すると、今まで動くことのなかった時計の秒針が動き始めた。
少し驚いたのだが、そのまま見ていた。
チッチッチと15秒動いた後、少し止まり、その後、45秒動き、秒針が一周し止ってしまった。
また動くのかもと思って、しばらく見ていたが動くことはなかった。
今度は12時24分で止まってしまったのだ。
そして、その時間は僕の誕生日の日でもあった。
このことは正式にお爺ちゃんが時計を僕に託したことなのかなと思った。
そして、時計が動く際に、15秒と45秒で区切ったのは、勝手な解釈だが、ありがとうと伝えたかったのかなと思った。
(時計は5秒単位で区切られているので、15秒は3、45秒は9で39みたいな笑)
結局、1台目のカメラを消した人は分からなかった。
だけど、なんだかすっきりした気分で、学校に行くことができたのを覚えている。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話