中編3
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恐笑

あなたは考えたことがあるだろうか。

人は死んだらどこへ行くのか

おそらくあの女は今日もどこかで笑っている…

あれはちょうど1年前。

俺は勉強をしに学校帰りに近くの図書館へ寄った。

冬だったので風は冷たく、辺りはもう暗かった。

その図書館には勉強用の机が用意されていて、一人ひとつずつ机があった。

僕は席に座った。

勉強用具を出しているとき隣に誰かが来た。

女の人だ。

《ん?》

どうしてだろうか、女の髪は雨に打たれたように濡れていて、雫が毛先からポタポタと床に落ちていた。

当然雨など降ってはいなかった…

《おいおい。嘘だろ…》

おまけに顔が見えなくて余計に不気味だった。

とにかく僕は勉強を始めた。

その女は何をするわけでもなくただ座っていた。

床のカーペットが水滴で変色していた。

女は突然体を揺らし始めた。妙な動きだった。

寝ているのかと思った。

僕はトイレに行った。

そのころ7時を過ぎていて周りには職員以外誰もいなかった。

あの女を除いては…

席に戻るとまだ体を揺らしている…

どこか具合でも悪いのか、

「大丈夫…ですか?」

恐る恐る聞いてみた。

「…………………。」

《返事くらいしろよ》

急に腹立たしくなって気にしないことにした。

8時になり閉館の時間となったので荷物をまとめて自転車置き場へ向かった。

その女はまだ座っていた

自転車のかごに荷物を入れ自転車をバックさせようとしたとき、視界に何か入った。

あの女だ…

女は玄関の前にたちこちらを見て笑っている…

顔が…

真っ白だ…

隣にいたときは顔は見えなかったから気付かなかったが。

人間の肌の色ではない…。

「ヒッヒハハヒっ……ヒヒハヒヒヒハヒっ……」

突然訳のわからない笑い声をあげて笑い始めた。

そのとき初めてヤバイと思った…

全速力で逃げた。

「うわぁー!!!」

自然に叫び声は出るのだと思った。

ちょっとして気持ちが少し落ち着いて、コンビニに寄った。

雑誌を読んで帰ろうと思ってて、立ち読みしていた。

急に悪寒というのか鳥肌が立って、目の前のガラスを見た…

「あっ………」

両手をガラスに張り付け、目を大きく開けたあの女がこちらを覗いていた…

すぐに店員を呼んだが戻ったらもういなかった…

怖くなってきて、どうしていいかわからなかった。

後ろは振り返らずそりゃあもう全速力でこいだ。

無事家についてホッとひと安心した。

「ただいま〜。」

「おかえ……あんたなにそれ!!」

母が指差す先を見た。

急いでいて気付かなかったが、僕の肩に濡れた大量の髪の毛がのっていた…。

すぐに捨てたが、怖くなりその日は風呂にも入れなかった…

自分の部屋へ行ったらカーテンがまだ閉まってなかった。

部屋の電気をつけた…

ベランダにあの女がこちらを見て笑いながら立っていた…

「おか……えり………」

僕は硬直したまま動けず金縛りのような感じになった。

いきなり

「ここを開けろ!!!ここを開けろ!!ここを開けろ!!ここを開けろ!!ここを開けろ!!ここを開けろ!!ここを開けろ!!ここを開けろ!!ここを開けろ!!……」

何回言ったかわからない。僕は途中で気絶した。

起きたら朝でベランダを見ると濡れた大量の髪の毛が散乱していた…

あの笑い声が今でも聞こえてくるような気がする…

下へ降りると一階の窓に

「また…来てやる……。」

それは血で書かれていた…

その後親のすすめでお祓いをしてもらった。

それ以来あの女は見ていない…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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