やった。僕はついにやった。
とうとう来れたんだ。エロゲーの世界に。きっと俺はもう、二度と元の世界へは帰れないだろう。でも、構うもんか。あんな辛い現実に戻るくらいなら、ここで女の子達と甘いひとときを永遠に繰り返すほうがマシ!!
今日から俺の最高の人生が始まるんだ!
新学期早々、始業のチャイムギリギリに教室に滑り込んだ。
「な……なんとか間に合った……。」
教壇にはまだ先生は来ていない。▽
友人A「おい、おせーぞ、○○。」
友人B「1日目から遅刻とか、度胸あるなぁ。」
仲の良い連中は今学年も軒並み同じクラスのようだ。▽
友人C「オイ!聞いたか○○!今日スッゲー可愛い女の子が転校してくるんだってよ!」
「なにっ!マジか!?」
友人A「マジマジ!俺朝校長室に入ってくの見たもん!」▽
そうか……!新学期に可愛い転校生、これはロマンスの予感がするぞ……!
友人B「なにニヤついてんだよ……気持ちわりィ。」
友人C「オイ!来た来た!先生来たぞ!」▽
ガラガラッ
先生「おう!皆おはよう。」
まず先生が一人で入ってくる。
先生「今日から皆を一年間受け持つことになった。よろしくな。……あー、早速だが、同じく今日から皆と一緒に勉強する転校生を紹介する。」▽
キタキタっ!
先生「××さん、入ってきなさい。」
××「はい。」
ガラガラッ▽
瞬間、俺は凍結した。
○○「あ……あ……。」
××「え……?」
○○「あ゛あ゛あああああ!!」
ああ、神様、嘘だと言ってくれ。▽
××「ああ!!アンタさっきの!!」
○○「お前!人を自転車で轢いといて!」
××「なによ!アンタが飛び出して来たんでしょ!!」▽
先生「なんだ、二人とも知り合いか?なら丁度いい。××さん、○○の隣に座りなさい。聞きたい事があれば何でも聞くといい。」
友人A「マジかよー!」
友人B「なんで○○が一歩先んじてんだよー」
友人C「先生!席なら今俺の隣あけますから!」▽
こうして俺は人生最悪の新学期の幕を開けた……。▽
俺にはここまでしかわからない。俺のセリフは3つだけ。美少女転校生の存在を知らせ、先生が来た事を告げ、主人公を羨む。これ以降出番はない。永遠にその朝を繰り返す。
もう100回目くらいかなぁ…。
「オイ!聞いたか○○!…」
こうして俺は、最悪の人生の幕を開けた。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話