中編5
  • 表示切替
  • 使い方

ジャイアン

今回は 僕が中学生の頃の話しをしたいと思います。信じる信じないは

読み手の方におまかせします。

僕の中学生活は、はっきり言って、何一つとして いい思い出は残っていません。

普段から毎日、右目に眼帯をつけていれば、

それをネタに、いじめられていました。

しかし、当時の僕は

眼帯をせずに、見たくもないものを見るよりは、 いじめられている方がまだマシだと思っていました。

イジメの首謀者は、

同じクラスにいました。 (以後、ジャアイアンとします。)

最初は、靴を隠されたり 机が移動されてたりと、 かわいいものでしたが、 2年生になる頃には、

毎日のように暴力を振るわれていました。

先生に相談もしましたが、

「一応、注意するが、お前も強くなれ…眼帯は…病気だからしかたないが…」

まわりには 僕の目は、

病気という事になっていました。

ある日の昼休み、僕が1人教室で、読書をしていると、いつものように

ジャイアンが、とりまきを引き連れやってきました。

「NIKO―!また、読書かぁ~!?病気でろくに目も見えないメクラがぁ~!」

僕は、いつものように無視することしかできません。

「てめぇ!聞いてんのかコラァ!!」

その時、ジャイアンが、僕の眼帯を引きちぎりました。

「…やめてよ!」

「ハッハハハハ―!!」

ジャイアンは引きちぎった眼帯を仲間に投げ、クラス中を眼帯が飛びまわりました。

「返してよ――!」

「こいつの目気持ちわりぃ~!なんか白く濁ってるぞ―!化け物だ―!」

僕は、泣き出してしまいました。 当時の僕は、 本当に弱い人間でした。 (今もですが…)

「ようし!化物退治だぁ―!」

ジャイアンが、笑いながら僕のみぞおちを、思いきり殴りました。

僕は、うずくまりながらも、次の攻撃を恐れて

直ぐにジャイアンを見ました。

「あん…?なんだよその目は?」

「…あぁ……」

「てめ…文句あんのかコラァ!」

うずくまる、僕をジャイアンは蹴り続けました。

クラスのみんなは、口を空けて見ていました。

僕は決して、ジャイアンを反抗的な意味で見つめていたわけではありません。

また見えたんです。

ジャイアンの後ろに。

黒い、かろうじて人間の形を留めているものが。

僕には、霊的な知識はありませんでしたが、

そいつが、よくないもので…悪霊の類いだということぐらいは、すぐにわかりました。

笑うジャイアンの後ろで、

そいつは肩を震わせて笑っています。

きっと、こいつは いつかジャイアンを連れて行ってしまう… 僕は、いけないことですが、それを嬉しく思っていたと思います。

僕は、両手で目を覆いました。

『…ミエテ…イルンダロ…?』

おぞましい声が、僕の頭の中に直接入り込んで来ました。黒板を爪で引っ掻いた時のような、不快感と、凄まじい吐き気が 襲ってきました。

「うわぁぁぁぁあ…!」

僕の、異常な叫び声に驚き、ジャイアンが蹴る事をやめました。

「…なんだ…?大袈裟な野郎だな…シラケちまうぜ…!」

その時、僕の頭の中で、 N村で起こった時の事を 鮮明に思い出していました。

【こんなやつ……こんなやつでも…でも……】

「…ジャイアン君……」

「あぁ!文句でもあんのかぁ!?」

「あ…ちがっ…!」

「なんだよテメーは!またヤられたいのか!?」

「違うよ…!…ジャイアン君の後ろに……後に…何かいるんだ…」

「はっ…?」

ジャイアンは、後ろをキョロキョロして言いました。

「何いってんだ…?俺の後ろには、沢山いるのは当たり前だろ!馬鹿にしてんのか?」

ジャイアンには、やはり見えていなかった。

ジャイアンに見えているのは 黙って見ている クラスのみんなだけだった。

「違うんだ…!後に…すぐ後に悪霊がいるんだよ!」

一瞬の間を置いて、

クラスの全員が、大声で笑い出しました。

「…ほんとなんだ!お祓いを受けた方がいいよ!放っておいたら僕みたいに…信じてよ…!」

僕の、必死の訴えも虚しく、その日から僕は、化け物、悪魔、悪霊、キチガイというあだ名で呼ばれるようになり、中には気味悪がって近寄らなくなる人も結構いました。

それから、しばらくして ジャイアンは、学校に来なくなりました。先生は、体調を崩して入院していると言っていました。

クラスのみんなが、お見舞いに行きたいと言うと

「…お見舞いは…もう少しよくなってからにしましょう…今は、まだ迷惑になったらあれだから…」

と、何かを隠しているのか、それとも、本当に容体がよくないのか、

詳しい事は話されませんでした。

その後の葬式の日に

再び、あの悪霊のようなものを見ました。僕は、ジャイアンの死に そいつが

関わっていたのか、確かめたくて、その日は目を隠さずに、しっかり見ていたからです。

そいつは、見おくられる霊柩車の横にピッタリ付いていました。

ちゃんと見て気付いた事は、性別や顔の判断はできませんでしたが、子供くらいの大きさということです。結局、そいつが 直接の死因に関わっているのかは分からず終いでした。

その後、高校に進学した僕は、初めてできた親友 から聞いた話しで、

ジャイアンの起こった不幸の真相がわかったような気がします。

親友のアキは、小学校4年生まで、ジャイアンと同じ小学校だったそうです。

当時のジャイアンも、ガキ大将的な存在で、逆らえる物はおらず、僕のように 一人の男子に的を絞って 毎日のようにイジメを行なっていました。

しかし、その子は毎日の イジメに耐えられなくなり、自ら命を断ってらしいのです。当時 少しニュースにもなったそうですが、 周りに話す友達もいなかった僕は、その時に初めて知りました。

その後、ジャイアンは学校を転校して、会うこともなかったそうです。

僕が見た あの悪霊のようなものは、ジャイアンによって、死に追い詰められた 男の子だったんだと、

気付いたと 同じに、

僕が、その子のように、自らの命を断ち、人を呪う存在になっていたのかもしれないと思うと、

とても、恐ろしく思いました。

僕は高校でも相変わらず、眼帯を外さないせいで 周りから気味悪がられ、 軽いイジメにはあっていましたが、

そんな僕に、普通に接してくれるアキに救われていました。最初に目の事も聞かれましたが、

すぐに 僕の心情を察してくれて、いつか話したい時に、話してくれればいいよと 言ってくれました。

今でも アキとは親友で、今の僕はがあるのはアキのおかげだと思います。

あの子にも、誰か一人でも理解してくれる人が近くにいたらと悔やまれてなりません。

これは僕の勝手な予測になりますが、あの子の、存在に気づいていた僕が、あれ以上深い入りすれば、僕も連れて行かれてたのでは…と思います。言葉では上手く表せませんが、無差別的な、強い恨みを感じました。

無駄に長くなってしまい すみませんでした。

怖い話投稿:ホラーテラー NIKOさん  

Concrete 59189e6fb4d79119a63e92183ffb92aeb8f46031afd97d5db060811ce15c35e6
閲覧数コメント怖い
31900
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ