短編2
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携帯の画面 コピぺ

夜、布団の中で壁の方を向いて、携帯で友人にメールを打っている時、金縛りにあった。

全く体が動かない。目さえも動かせず、一点を凝視し続けるしかなかった。

一点……そう、携帯の画面を見続けていた。

そこに、見慣れたメールの画面はなかった。誰かが、歩きながらビデオ撮影をしていると思われる動画が映っていた。何の変哲もない道を歩きながら。

視点は、人の目の高さにある。自分が歩きながら見ている風景のようにも見える。画面の奥から手前に向かって歩いてくる人もいれば、視点と同じ方向に歩いている、背を向けた人物も何人かいる。画面の中央には、視点と全く同じ速度で歩く人物が背を向けていた。

どうやらその人物を追っている映像らしい。夜、家路の途中であるようだ。

映像は非常に滑らかだ。

夜の道を滑るように移動している。

誰かがビデオカメラを持ちながら歩いているのであれば、多少の手ぶれもありそうなものだが、映像にはそれが一切なかった。

生きた対象を捉えた映像ながら、それを追っている側に生の香りがしない。

主人公と思しき人物が家に着く。一人暮らしらしい。

テレビをつけ、風呂に入り、ビールを飲み、夕食を食べる。その一部始終を背後から見る。

やがて床についた。すぐには寝付けないらしく、布団にくるまりながら、携帯でメールを打ち始めた。やがてその人物は、壁の方を向いたまま動かなくなった。一心に、携帯の画面に見入っているようだ。

先程からかれこれ三十分近く、この映像のまま動かない。

金縛りも解けない。

映像の視点から主人公と思しきその人物までは、1メートルもないほどの至近距離である。

怖い話投稿:ホラーテラー ピクミンさん  

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