短編1
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コンロ

5年くらい前の話です。

新品というか、買ってから放置していた未使用の鉄の中華鍋がシンク下の収納で見つけ、使おうと思い、錆止めを落とす目的と焦げ付き防止のために空焼きをすることにしました。

火事にならないように見張るのに、コンロの目の前にいても退屈過ぎるので、コンロから少し離れた位置に椅子を置き、座って読書をしつつ、ときどき中華鍋を確認することにしました。

熱せられた中華鍋からは白い煙が上がり始めます。

しばらくするとパチッパチッという音や、髪の毛を燃やした時のような焦げ臭い変なにおいがしてきたので、鍋の方へ視線を向けると、鍋の取っ手の辺りが歪んで見えました。

様子が変だと近づいて見ると…

筒状の取っ手の中を巣にしていた大小さまざまなクロゴキブリの群れが、熱さで這い出して蠢いていました!

パニクった奴がコンロの火の中に落ちて焼け死んだり、調理台の上で走り回る奴、取っ手が歪んで見えたのは逃げ場のない生まれたばかりの幼虫が取っ手の上を這いずり回っていたせいでした。

殺虫剤を使おうにも火があり危険でしたし、火を消すのにコンロに近づくと暴れまわる奴らが怖いし迂闊に近づけず…結局、生き残ったゴキブリが居なくなるまで空焼きしたままにしました。

怖い話投稿:ホラーテラー ツチノコさん  

Concrete
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