中編3
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美味しい話にはご注意を

初心者の投稿です故お見苦しい箇所も多々有るかとは思いますがご容赦頂けると有り難いです。

そしてやたらと長い割にあまり怖くないですし、心霊現象の類いとは全く関係ないです。

ですが未だ未解決のままの多くの拉致事件、失踪事件にひょっとすると関係有るのでは?と思い投稿してみる事にしました。

これは私の母の青春時代の思い出話です。

還暦間近の母が若い頃は今よりも日本は裕福で、とても活気があったそうです。

貧しい漁村で暮らす10人家族の家に生まれた母は自分の人生を変えたくて実家を飛び出し、A県に引っ越し大手食品メーカーに就職しました。

今では考えられませんが、若者がチヤホヤされ就職先も引く手数多だったそうです。

そこで紹介された寮で暮らし、コツコツとお金を貯めながら看護学校へ入学する事を夢見ていた母は、当時故郷が恋しかったり不慣れな環境に早く溶け込まなくてはというプレッシャーから逃げるように週末になると友人達に混じってB県にある港町に繰り出してはダンスホールやバーに入り浸っていたそうです。

その港町は異国情緒漂い土地柄かとても外国人の多い街で、彼女達は中でもドイツ人が経営しているダンスホールが大層気に入り、気さくで親日家な彼等が紳士的にもてなしてくれると大はしゃぎしていたそうです。

その仲良しグループの中でも特別親しくしてくれていたM子さんがある日「あんたに会いたがってる人がいるのよ」と一人の男性を紹介してくれたそうです。

その男性が田○二郎似のイケメンで、おまけに貿易関係の仕事をしているそうで傍から見てもお金持ち風。

不思議な事に母の事を大層気に入ってくれたそうで、すぐに二人は交際をスタート。それからは夢のような生活が始まったらしいです

その二郎さんは母を庶民にはとてもじゃないけど足を踏み入れられないような店に連れて行ってくれたそうです。数キレで当時1万もする肉が出される店や高級ホテルのラウンジ、老舗の料亭に毎回のように連れていってもらうのは当たり前。

お世辞にも母は田舎娘が一生懸命背伸びした風の何処にでも居る容姿で家柄も良いとは言えません。本人も周囲もただただ首を傾げるばかりでした。

そんなある日、二郎さんに連れられて訪れたのは顔なじみの外国人が出入りするバー。

いつものように彼の友人である外国人達と楽しくお話をしていたのですが、二郎さんが突然二人きりにさせてくれと皆に話し、どうしたんだろうと首を傾げていると、船に乗って外国に行かないかと言うんです。

あちらに行けば夢のような生活が待ってるよ、君を幸せにしてあげるよ、と。

そこで彼が仲間と話があるからと席を立ちバックルームに消えて行きました。

視線をそちらに傾け耳を澄ますとカーテンの向こうからヒソヒソと話し声が。

二郎さんの話し声も聞こえます。

なにやら聞き馴染みの無い言語。まるで呪文のような…それはきっとアラビア語だったんじゃないかなと当時を思い出し母は言います。

見るからに人相の怪しげな男達と声を潜めて話す二郎さんはいつもの彼とは別人のようでした。

そこで第六感的にヤバい!!と思った母は鞄と靴を持って脱兎の如く逃げ出したそうです。

それに気付いた男達が血相を変えて追っかけてきます。

母は急いでタクシーを捕まえ間一髪逃れる事が出来ましたが、外で大声で母の事を呼んでいます、それでも「いいから!早く行って!」と運転手さんに無茶を言って逃げ切ることが出来ましたが、その夜以降も毎日のように寮の電話に二郎さんから電話が鳴り続けていたようです。

結局恐ろしくなって寮を逃げ出し友人の家に身を寄せることにしたそうです

その思い出をしんみりと語っていた母が「私も惜しいことをしたわね、あのまま付いて行ったら今頃○○国の第○夫人になれたかもねぇ」なんて言っていましたが私はちっとも笑えませんでした。

多分きっと母があのままあそこに留まっていたら私はこの世に居なかったんじゃないかと思います。

色々な事が脳裏を過ぎりますが、解釈はみなさんにお任せしたいと思います

最後まで読んで下さり有り難うございます。拉致、失踪事件の一日でも早い解決を心よりお祈り申し上げます。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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