短編2
  • 表示切替
  • 使い方

泥棒

大学時代のことです。

ボロアパートの1階に住んでいました。

しょっちゅう夜中眠っているときに、「泥棒と思しき人物」が入ってきて部屋の中を歩き回るのです。

それは、夢なのですが、非常に現実感があります。自分は部屋の中で寝ていて、天井を見ているのです。私の視界の外を誰かが歩いているのが分かるのです。

しかし、起きると忘れてしまいます。

そういうことが何回か続くうちに、こんなこと初めてじゃないなと気付くようになって来ました。

本当に泥棒が入ってくるかもしれないなと思い、パイプベッドを分解しました。

分解した鉄パイプを枕元に置いておいたのです。

いざとなったら、それを持って戦おうということです。

ある晩、また夢(?)を見ました。

部屋に誰かが侵入して歩き回っています。

わたしは「やばい!泥棒が入ってきた!」と思いました。

本当に怖かったです。私は心霊現象として怖かったのではなく、泥棒が居直り強盗になるのが怖かったのです。家に泥棒が来たら、普通、怖いですよね。

私は気付かないフリをしていました。

そして歩き回っている「泥棒」が背中を向けた瞬間、用意しておいた鉄パイプで後ろから一撃をくらわしてやろうと思いました。

ですが、いざ、飛び掛ろうとした瞬間、異変に気付きます。

体が動かないのです。どんなに頑張っても動けません。

そして思い出しました、いつも泥棒が入ってくると体が動かなかったことを。今回が初めてではなかったことを。

そしてその「泥棒」は私の意図に気付いたのか、私を攻撃してきました。私の上に馬乗りになって首を絞めてきました。

後で考えるとへんなのですが、姿は見えません。姿は見えないのですが、いることははっきり分かるのです。そのときはとにかくもがいて、「泥棒」を跳ね除けようとしました。しかし体が動きません。

そして、目が覚めました。

それ以後友人宅にしょっちゅうとまりに行ったのですが、夜中うなされていることが多かったと聞かされました。「うう…」とうめくのではなく、「うわっ!」と叫んでいたらしいです。

私も、夜中、誰かに蹴られる感覚がしょっちゅうありました。体に衝撃が走るのを感じました。そして、蹴られているのが見えるわけでもないのですが、蹴られていると直感的に分かりました。

そのアパートは成り行き上、引っ越すことになりました。もう10年も前の話です。

今は怖い方の体験はありません

怖い話投稿:ホラーテラー ぽんぽこさん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ