短編2
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通学電車

私は地元から少し離れた高校に通っている。

私立で部活も強制だし、朝早くて通勤ラッシュに巻き込まれる事もしばしばあった。

ある日少し寝坊してしまってホームへ走った。

いつもは遅れるならそれでも…と思ってそんな事をしないけれど何故か引き寄せられるように、もう出そうな電車に飛び乗った。

やはり周りからは白い目で見られてしまった。

昔からこの目が苦手で人が怖かった。

座席も吊り革も埋まっていてギュウギュウの電車の中は汗臭かったり香水臭かったりジジくさかったりで吐き気がする。

そんな所で1時間も立ってなくちゃいけない事が辛かった。

私は2車両の前の方に立っていた。

ガタンッと電車が大きく揺れて立ってる人は大抵フラついていた。

車両内の反対側に、電車が揺れているにも関わらず微動だにしない人がいた。

すごい人だなー、足辛いんじゃないかなと思っていた。

また大きく揺れて、私は転んでしまった。

恥ずかしくて顔を真っ赤にさせながら隣のサラリーマンのおじさんに支えられながら立ち上がった。

ふと顔をあげてみたら

さっきの人が近くなっていた。

手を伸ばせば届くような距離にその人はいた。

とても優しそうな顔で、長い黒髪が一層美しさを引き立てているように見えた。

今時のギャルみたいにごってごての化粧とか変な服装じゃなくて、シンプルな黄色のワンピースを涼しげに着こなしていた。

綺麗な人だなーとつい声にだしてしまった。

その人はチラッとこっちを見た気がした。

主要の駅に到着した電車からは大量の人が降りた。

さっきのサラリーマンも忙しげにおりていった。

やっと座れるなあ…と背伸びをして横をみた。

すぐ近くにその女性が立っていた。

しかも私が覚えた違和感はそのまま、電車が揺れても微動だにせず立っていた。

何故かひたすら私の方に身体も顔も向けて真っすぐに立っていた。

先程の涼しげな女性ではなく明らかにイっちゃってるように見えて仕方がなかった。

周りにも数人人がいたけど私とその女性などいないかのように座っていた。

次の瞬間、駅についた。

私は逃げるように走って電車をおりた。

ホッと一息ついてから、頭痛がひどいから休む、と親と学校に電話を入れた。

反対側のホームで帰りの電車を待っていた。

向かいの電車が出た後に、

その女性がいた。

しかもホームでも電車の中でもなく、ホームの下の空洞にしゃがみ込むようにしながらこっちを見ていた。

普通の人だとしたら駅員さんが救助するよね…?と疑問を抱きながらも怖くて何も考えず電車に飛び乗って帰った。

そこから酷い頭痛が一週間続いた以外は何もなかった。

昨日から電車の中にあの女が

いる以外は。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名JKさん  

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