中編3
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カンカン

私が中2の頃の話です。

私の家族は母と姉の3人でした。

父は居ないものの、

二人の家族が大切でそれ以上は望んでませんでした。

団地の小さい一室で3人で川の字になって寝ていました。

尿意で目が覚めました。

が、当時の私は暗い部屋を一人で移動するのが怖く、

姉を起こして着いてきてもらう事になりました。

寝室の襖を開けると、姉がピタリと止まりました。

「早く行こうよ」と急かしましたが姉はピクリとも動かなかったのです。

「もういいよ!」と姉を押しのけて進もうとしたのですが、

後ろから姉にがっしりと捕まれながらも居間の机の上に居るソレを目にしました。

ソレは、私たちに背を向けながらブツブツ言いながら静止していました。

私は怖くて震えていて、尿意の事などすっかり忘れていました。

姉は、私の腕を掴みながら小声で言いました。

「ゆっくり下がって。絶対声出しちゃダメ。」

私も姉も感じていたのでしょう。

ソレを見ても見られてもお終いだ、と。

けど私は、寝室に叫びながら走って行きました。

もう我慢の限界だったのです。

驚いて起きた母に、泣きじゃくりながら説明しましたが

夢でも見たの?と聞いてくれませんでした。

母が確認に着いてきてくれた時、姉が居間に立っていました。

母が「お姉ちゃん何か見た?」と聞くと、

姉は「何にも。○○寝ぼけたんじゃない?」

と言いました。

私はなんで?ほんとに寝ぼけてたの?と思いました。

が、寝室に戻る時に姉が

「あんたが叫ぶから。」

と言い、それ以来母の前以外では口をきいてくれなくなりました。

私は、その状態が続いて何度も何度も姉に謝りましたがそれすらも無視されました。

そんな出来事も忘れ、

口を利かないのも当たり前のようになり、2年が過ぎました。

姉は成人し、出ていきました。

母と二人でしたが、母は仕事で遅くほぼ一人でした。

その日、私は部活で遅くなり

ドアを開けると変な違和感を感じました。

部屋はいつも通り真っ暗なのに誰かが居る気配がしました。

私は、「お母さん?帰ってるの?」

と声をかけましたが。

なんにも応答が無く、

気のせいかと思い入ろうとした瞬間

フフフフフッ

居間の方から明らかに

甲高い声が聞こえました。

その後に、カンカンカン

と聞こえました。

一瞬であの時の後ろ姿が

甦り、発狂しそうになりながら走って逃げました。

帰ろうにも恐ろしくて帰れず、図書館に行き時間を潰していました。

時代が時代なので、携帯電話など持たせて貰えるはずもなく、時間だけが過ぎていきました。

図書館をでた所の公衆電話で家に電話をかけました。

母が帰ってるかもしれない、と思ったんです。

しばらく鳴った後に電話を出る音がしました。

心臓が飛び出そうでした。

懐かしく愛しい声が聞こえました。

「○○?どうしたの?今どこにいるの?早く帰ってきなさい。」

「あのね!お母さん、私ね、」

言いかけた時、違和感に気付きました。

「○○?今ドコなの?○○?」

まるで録音テープのように

繰り返すだけで私の言葉に

反応を示さないのです。

私は泣きそうになりながら、

「おかあさん…??」

その後に聞こえてきたのは

さっきの笑い声でした。

「フフフ…フフ」

耳元で急にソレは鳴きました。

カンカンカン。

私は母が心配で泣きじゃくりながら走りました。

もう自分がどうなるかなんか良かったのです。

家に飛び込んで、

「お母さんっ!!!!!」

叫ぶと居間にはあの時の

姿のままソレはいました。

フフフ…フフ。

カンカンカンカンカンカン。

頭が痛くなりました。

ソレが振り向いた時、

私は気を失いました。

ソレの目には、

大きなネジのようなものが

突き刺さって大きな口を

にーっとあけて笑っていました。

その1年後、姉は亡くなりました。

最期の時に私に、

「あんたにアイツが行くのが怖かった。ごめん。」

と一言言って、

目が真っ黒になって、

脳の異常で亡くなりました。

頭の中で、カンカンカンと

ずっと鳴っているとだけ

言っていました。

私の頭の中のこの音は、

アイツのせいなのでしょうか。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名WOMANさん  

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夜中にカンカンって言葉を思い出したらソレがくるらしい。
思い出したらどうしよ。アワワ。

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