短編2
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九紋龍史進

彫師の先輩が初代彫○として独立してから飲み屋で聞いた話。

昔と違いオシャレ感覚で刺青を入れるような時代になったので客も若いヤツが増えたみたい。

もちろん和彫りをメインにしている人なので筋者の顧客も多い。

知り合いの後輩に九紋龍史進の絵柄を持ち込みされて彫ったそうだ。

彫師によって違うかもだが、先輩が持っている絵柄集から選ぶ場合もあるし、

浮世絵などを持ち込みしてそれを彫ってもらう場合もある。

もちろん筋彫りできるように先輩が構成してからになるが・・

九紋龍史進、詳しい人なら知ってるかもしれないが刺青が入った史進を中心として彫る。

水滸伝かなんかの人物って聞いたな

刺青いれてる人物そのものを絵柄の中心とするものはけっこうあるそうだ。

その後輩、九紋龍を完成させて1年たったくらいにまたひょっこり現れた。

色の入れ直しには早いな・・どうした?と聞いたら

来週、結婚の約束した女の実家に泊まりに行く、

彼女の父親と銭湯に行く約束しているがなんとか刺青を隠したい。

とのこと

先輩は一言

「隠せるはずねぇだろ、自分で何とかしろ」

ソイツ肩をガックリ落として帰っていったって。

しばらくたってソイツが女と別れて、シャブ中になって自殺したってことを聞いたそうだ。

もちろん別れたのは刺青が原因かどうかまではわからない。

ホッピーを飲みながら先輩はポツリと悲しそうに言った。

「俺は彫師だから彫れって言われりゃ彫るけどな、

その後の人生の面倒までは見きれねえよ・・史進も無念だろーよ」

九紋龍いれて苦悶してりゃ世話ないっすねとつぶやいたが

誰一人笑わなかった。

怖い話投稿:ホラーテラー キヨスさん  

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