中編5
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頑張れ

俺の友人の元カノの話をしようと思う

蛇足が多いのは勘弁して欲しい(好きなので)

2週間くらい前に俺は友人のSと会っていた

なんでも相談に乗って欲しいことがあるとのこと

俺はめんどくさいと思いつつも暇だったので了承した

2週間前喫茶店にて

「うーっす」

「よお」

Sと会うのは久しぶりだったが

俺たちは軽く世間話をしたあと早速本題に入った

「んで相談って何よ?」

「あぁーまぁ・・・・・俺の彼女のことなんだけどさ」

「え?おまえつき合ってるヤツいたの?」

「んーまぁ最近な」

話を聞くとその彼女とはmixiで仲良くなりつき合うことになったとかどーのこーの

写メを見たらうんまぁまぁだな、うんまぁまぁだよ

うらやましくなんかない

「で?なに?ノロケかこのやろー」

別に俺はうらやましくないけどムカついた

「まぁ話を聞けって、それがつき合ってみたらヘンな女なんだよ」

どんな風にヘンかというと

・メールの内容がまるで一日中あとをつけてたかのような内容のときがある

・基本的に依存してくる。拒否すると発狂する

・部屋に行ったら壁中にお札みたいなのが貼ってあった

・突然けいれんのようなものをおこす(すぐに元に戻る)

・でもかわいい

「いや最後のはイラね、ってか何そのDQN、こわっ」

「俺もさすがに怖いんで別れたいんだけど」

「ってかよくそんなんとつき合えてたな」

「かわいいからな」

「しね」

そんなアホなやり取りを一巡したあとどう別れを切り出すかという話になった

つまり相談とはそ れ だ

「あーメールとかでいんじゃね?」

俺はテキトーに言った

つまりどうでもいい

「それも考えたんがあとあとを考えたらちゃんと会って切り出した方がいいと思うんだ」

「そ−ですねー」

「どう切り出したら穏便に済むと思う?」

「そーですねー」

「おまえこっちは真剣なんだぞ」

「おまえこっちは他人事なんだぞ」

「この下衆野郎」

そう言ってSはだんまり。何やら思案している様子だった

俺も邪魔したら悪いと思い立ち去った

会計はSにつけといた

そんで一週間くらい前にSから電話がきた

「頼む今からちょい俺んち来てくんない?」

「ああ?なんで」

「ほらこの前話したじゃん。彼女と別れ話をするって」

「忘れたかもしんない」

「ちょマジふざけんな。おまえ俺に会計出させただろ」

「それは忘れた」

「とにかく立ち会って欲しいんだよ。それで会計チャラにするから」

「安すぎるわ。ってか俺を巻き込むんじゃねぇ。第一別れ話に第三者がいるってのはどうよ?」

「マジ頼むよー。もし俺になんかあったらどーすんだよー」

はっきりいって自業自得なんだが

しかし俺の『友人』が後日刺されたなんてニュースを聞いたら俺も寝覚めが悪い

しょーがないので

「よし君と僕とは今から友人ではなく『他人』だ」

「この腐れ下衆野郎」

Sはそう吐き捨てて電話を切った

え?ちょ腐れ下衆野郎って。いくら日頃から腹黒い俺でも腐れ下衆野郎はへこむわ

さすがに行かざるをえない

あと暇だった

俺はSの家に行くことにした

Sの家に着いた俺はチャイムを鳴らした

Sの家はいたって普通の木造アパートだ

ドアを開けたSは満面の笑みだった

おそらく俺が菩薩に見えたのだろう

玄関には女物の赤い靴があった

俺は玄関を跨ぎつつ廊下の奥を見たあとUターンして帰った

ダッシュで

しかし

Sもダッシュで追いかけてきた

チクショー必死じゃネェかこのやろー

俺は追いつかれた

この時ばかりは日頃から筋トレしとくべきだと思ったよ

「おまえアレはヤンデレじゃなくヤンデルだ。」(以降Sの彼女をヤンデル)

廊下ごしに見えたヤンデルは写メとはまるで別人のような顔つきで一瞬死神かと思った

リュークかと思った

「頼む俺を見捨てないでくれ」

「無理」

そんなやり取りを10分くらいしていたと思う

俺たちはヤンデルを部屋に一人残したままなのを思い出した

「部屋戻ったら死んでたりして・・・」

「それはシャレにならん」

俺たちは急いで部屋に戻ることにした

部屋には先ほどと変わらずの位置にヤンデルがいた

ヤンデルの対面にSそのとなりに俺が座ることになった

(くそっ出口はヤンデルの後ろか。逃げにくいな。ヤツの鞄刃物とか入ってないだろうな。ん?手に包帯だと?あそこから刃物が飛び出すのか。その場合間合いは・・・)

などと俺が厨二展開を頭で繰り広げているうちに自己紹介が終わっていたらしい

ヤンデルがこちらに会釈をしてきた

「え?ああ初めまして」

俺は怯えつつも挨拶を返しそして無言

そして静寂

そして5分経過・・・

なんだこれ

早く進めろよ

とSを見るがうつむいているだけヤンデルも同様だ

何この空気?お見合いか?いや離婚調停か

しかたがないので俺が切り出すことにした

「えーとそれで話はどこまで?」

俺は無難な質問でとりあえず進行させようと思ったのだ

しかし突然Sは泣きながら別れて欲しいと懇願してきやがった

俺の穏便に進めるプランが台無しだよこんニャロー

するとヤンデルが腰を浮かせた

ヤベェヤラレルと思った俺はお茶の入った湯のみを握りしめた(いざとなったらこれをry)

しかし俺の妄想とは裏腹にヤンデルは腰を追って謝罪と感謝の言葉をのべてくるじゃないか

(普通にいい子じゃないか?Sに聞いた話ではDQNかと思ってたが・・・・)

なんだか話と違うがまぁ穏便に終わりそうなんでめでたしめでたしだよ

俺はつかんだ湯のみをそのまま口に運んでほっと一息

俺もSなんて実は××××××××××××××なことしてるんだぜとヤンデルが未練を残さないようフォローしてあげた

見るとSは引きつった笑みを浮かべていた

おそらく俺が悪魔にでも見えたのだろう

その後お互いに今までありがとうと握手をしニコヤカにヤンデルはSの部屋をあとにした

無性に疲れた俺はその後1時間くらいまったりとSの部屋でくつろぎ

この借りは出かいぞとSに念を押し家に帰ることにした

玄関で靴を履いてると郵便受けに黒いモヤモヤが入っているのが見えた

「なんぞこれ」

Sに言って開けると髪の毛の束がばさばさばさ

「おわーっ」

どうやらヤンデルは帰り際その場で髪を切り中に入れたようだ

チクショーあの女やっぱり刃物持ってやがったよこえー

そして封筒が髪に紛れて落ちていた

「・・・・・・」

Sは無言で封筒を拾い上げる

俺もとりあえず興味があったので中身を見ることにした

中には血文字で『今までのお礼です』とかかれていた

あと生爪が10枚

(まじでええええええええええええええええええええええええええええええ)

俺は内心絶叫してたが声には出なかった

Sもそれは同様らしく顔面蒼白で手がブルッてる

その後道中ヤンデルに襲われやしないかといつでも臨戦態勢で家に帰った

まぁもし本当にヤンデルに襲われてたら

ヤンデルが現れた

 たたかう

→にげる(全力で)

そして3日前

Sからこんなメールがきた

『あれから毎日封筒が郵便受けに入ってるんだ。何かの燃えくず、お札。昨日は写真。マジでどうしたらいいと思う?別に何かされたわけじゃないので警察にも言えないし。」

俺はこう返信したのだった

「頑張れ(ノリで)』

怖い話投稿:ホラーテラー Tさん  

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