短編1
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あちらへどうぞ

【あちらへどうぞ】

よく僕の耳元で聞こえる声

可愛らしい声で【あちらへどうぞ】と聞こえてくる

最初は学校で部活の練習の時

僕は吹奏楽部のパーカス担当。

新しく渡された楽譜に僕は音譜を読みながらも練習していた。

【あ……へど…ぞ】

「え?」

聞こえるか聞こえないかぐらいだった。

誰か何か言った?と聞いても皆首を横に振り何も言ってないよ?と言う。

二度目は授業中。

僕の嫌いな数学の時間。

【あ…らへど…ぞ】

今度は教室が静かなだけか比較的よく聞こえた。

だがおかしい。

この状況で喋ろうものなら教師の鉄槌がくだるであろう。

なら一体誰が?

軽い恐怖を覚えた。

【あちらへどうぞ】

三度目の声

部活のせいで帰りが遅くなった。

よく聞こえるようになった声も最初と比べると近くなった気がする。

人通りの少なく薄暗い夜の道にヒンヤリとした空気が流れる。

考えれば考るほどどれもが僕を怖がらせる。

【あちらへどうぞ】

「また…」

【あちらへどうぞあちらへどうぞあちらへどうぞあちらへどうぞ】

「!?」

ガシャアァァアアンッ

一瞬何が起こったかわからなかった。

目の前には花壇の花。

ただ一つだけわかった。

あの声は……………………

僕を殺す気だった。

【あーあ、残念】

怖い話投稿:ホラーテラー 友歌さん  

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