中編2
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ここ数年、働き詰めだった私は会社から長期休暇を進められて、久しぶりに羽を伸ばせる日々を送っていた。

家には優しく美しい妻。幸せだった。

その日は、珍しく妻と口論になり、疲れて寝たのか真っ暗な寝室で目が覚めた。

しかしもう夜中なのに妻が見当たらない。

妻は不機嫌だと、たまにリビングで寝ている事がある。

心配してリビングを見るが、姿はない。

どこにもいないのだ。

私は血の気が引くのを感じた。

妻はここのところ、心を病んでおり、ほとんど家に篭っていた。

私は警察に連絡するより前に、妻の主治医の元に向かった。

既に時間は丑三つ時。

非常識だが、妻の症状は軽く、薬を服用していれば大丈夫と無責任な判断をした医者を怒鳴り散らし、心配や不満のはけ口にした。

妻をこれみよがしに罵倒して傷つけてしまったのは私だ。

はっきりいって私も充分に悪い。

だが、誰かに当たらずにはいられなかった。

しかし医者はまるで、興味が無いかの様な態度を取り続ける。

確かにこんな時間に、何人も掛け持つ患者の一人が居なくなった所でそこまで関心は無いだろう。

だが、私にとっては命より大事な妻だ。

次第に私は理性を失っていった。

帰り道、気付けば朝日がでていた。私は疲れからか倒れる様に眠りについた。

目が覚めると外は既に暗くなっていた。

妻の身が心配で食欲も沸かない。

悶々と時間だけが経って行く。

気付くと見慣れた部屋の天井が目に入る。

いつの間にか、また眠ってしまったらしく時間は零時をまわっていた。

あなた

驚いて振り向くとそこには妻が立っていた。

恥ずかしい事に私は泣き崩れ、妻を力一杯抱きしめた。

何度も謝り、泣きわめき、ようやく落ち着いた私は妻とベットに横になった。

目が覚める。

布団に妻がいない。

昨日の今日だけに、急いでリビングに向かう。

妻はいた。

一人何かを呟いている。私はとにかく妻がいた事に安心して、また眠りについた。

起きると、また夜中になっていた。

ピンポーン

こんな時間の訪問者だ。

慎重にドアスコープを覗き、確かめると、こないだの警察だった。

安心して妻がドアを開ける。私は頭を下げる。妻は帰ってきたと、感謝の言葉を述べた。

警察はその言葉を遮るように一枚の紙を私達の前に広げ説明する。

主治医の先生が昨日殺されたと。

その言葉を聞いた途端に私に用があるという事はわかった。

その場で私は妻にすまないと呟く。が、妻は、無視して外に出て行く。

私の予想と裏腹に警察は私には目もくれなかった。

玄関先から妻が私を見てゲラゲラ笑う。

私の知っている妻とはまるで雰囲気がちがった。

妻は冷たい視線を向け、口を開いた。

あなた死んでんだよ。

目が覚める。

あなた

気付くと冷たい鉄格子の中だった。

妻は横でヘラヘラと笑い続ける。

最近、妻は心を病んでいる。

怖い話投稿:ホラーテラー ぺんたさん  

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