私の自宅は小高い山間の田舎町だ。
麓にはそれなりの大きさの街があり、大小様々なカーブが存在する一本の峠道が唯一の連絡路である。
その峠道は、深夜、麓の街や他から来た若者にとって恰好のサーキット場となる。
今時分から爆音が山彦となって我が家に届き始め、それに加え、その音に向かって吠える我が家の番犬にイライラする毎日を過ごしている。
しかし、今日は犬が鳴かない。
爆音が遠くで響くだけだ。
こんな日は珍しいが、一年に数回ある。
その内、救急車やパトカーのサイレンが聞こえて来るだろう。
頭は悪くも人懐っこい愛嬌たっぷりの愛犬だが、こんな日は、冷たい目をしてじっとあの峠道を見つめている様がどうにも気味が悪い。
打ってる内に、爆音が止んだ…。
無事だと良いがね…。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話