短編2
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帰ってきたパトス(後)

どうしようもなかった。

私達は、既に奴等の激しい攻勢の前に絶望していると言っていい。

もう全員が諦めていただろう。

枯れた大地に次々と仲間が倒れて行く。

空にまた太陽が登るのをもう一度だけ、みたかった。

私は壁にもたれかかると座り込み、ふと空を仰ぐ。

…その時だった。

初めそれはただの小さな星だと思った。

それは綺麗な光だった。

それはまるで空を照らす太陽だった。

それは七色だった。

それは、それは…

パトスだった

体が光輝く。

体が燃える様に熱い。

パトスが溢れみなぎる。

空高くから私はこの地に再び舞い降りた。

ヨハネスブルクはもう面影を残していなかった。

私は仲間達に向け大きく頷く。仲間達も私をみて大きく頷く。

私はいった、もう安心しろと。

奴等は私を見つけた。

その速さは鉛弾すら置き去りにする。

その力はコンクリートすら握り潰す。

その牙はダイヤモンドすら粉々にする。

私は奴等に飛びかかった。

全ての怒りをぶつけようとした。

だが私の体は彼等に再び蹂躙された。

骨が軋み、皮は裂け、血へどを吐く。

私はまた彼等に負けてしまうのだろうか。

意識が遠のいていく…

しかし私は、

愛を知ったのを忘れていた。

全身の筋肉が叫ぶ。脳内部質が爆発的大量分泌を始める。

痺れる…パトスが…溢れ出す。

私は奴等に告げた。

さぁこい…

何が来ようが今この鍛え上げた体愛と涙を知った私を誰にも止れやしない。

私は奴等をなぎ払うと全てのパトスを全身から放った。

巨大な光のドームが形成される。

奴等は私のパトスを浴びると同時に塵となって消え去った。

いつのまにか空には太陽が輝いていた。

なんて清々しい朝なんだ。

仲間達をもう一度みる。

仲間達は私に行けと言った、ここは任せろと。

私は返事も頷く事もせずに走りだした。

地面を強く蹴り、直角に空へ駆け上がる。

奴等の船に私は向かう。

空を突き抜け宇宙に出る。

体が軽い。

パトスがまた虹色に光り始める。

時はきた。

今こそ行こう。

さぁ、

宇宙の起源まで。

怖い話投稿:ホラーテラー サイコ男さん  

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