短編1
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12時のノック音

2年前、私は今のアパートに住み始めた。

このアパートでは、少し変なことが起こる。

夜の12時ちょうどに、誰かが私の部屋をノックするのだ。

最初、インターホンがあるのに変だと思った。

空耳かとも思ったが、念のためにドアを開けて外を確認したが、誰もいなかった。

ノックは毎晩続いた。

誰が叩いてるのか気になって、レンズを覗いて待ち構えてみた。

12時、音だけ聞こえたが、レンズの向こうには誰もいない。

恐くなって、その日は慌てて布団に潜った。

でも、次第に慣れるようになった。

寝ていたら気付かないぐらいのノック音なので、気にしなければ生活に支障はなかった。

ノック音は私の生活の一部になった。

ある日、友人を部屋に呼んだ。

二人でだらだら酒を飲んでいると、12時にノック音が鳴った。

友達ははっとして、私を見た。

「なんだ、いまの」

私は、12時のノック音の話をしてやった。

「ノック音?」

「うん。最初はびびったけど、今は慣れて愛着までわいてきたよ」

「何言ってんだ」

友人は赤ら顔で私を睨んだ。

「俺にはノック音なんて聞こえなかった。…おかしくなったカセットテープみてーな声で『オジャマシマス』って、聞こえた。」

12時のノックは、今も続いている。

怖い話投稿:ホラーテラー えすさん  

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