短編2
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一つ目

俺の姉ちゃんの話

今からかれこれ15年以上も昔の事になるんだけど、その日は大阪府内の某駅で電車を待ってたんだって

通勤ラッシュが思いっ切り被ってしまい駅は人でごった返していたそうだ。こりゃ座れないな、なんて覚悟を決めてその辺に突っ立ってた姉

すると突然回りの空気が変わったんだって

俺の母ちゃんその道のプロに修行すれば良い拝み屋になれるよと太鼓判を押される程の物凄い霊感体質で、姉もそれをそっくりそのまま受け継いでしまってるんだ

だからまた変なのが沸いて来たか?とソイツに悟られまいと視線だけ泳がせるが、どうも違う。変なのに遭遇した時特有の吐き気とか変な耳鳴りがしないんよ、気のせいかなって首を傾げる姉

ふと反対側に視線を傾けると初老の女性とスモッグと黄色い園帽子を身につけた幼稚園児が手を繋いで列の先頭で電車待ちをしていたんんだ

何処にでも有り触れた日常風景

ただ違うのは二人の周りの連中が物凄い形相で二人を見ているって事だけ。そりゃもう目なんか飛び出す勢いで顎も外れんばかりに。楳図御大や伊藤大先生の漫画に出て来そうなすんごい形相で

いつしか姉の周囲でも悲鳴やどよめきが沸き上がった。そんで例の女の子をじっと観察すると

その子、目が一つしか無かったんだよ

百鬼夜行をテーマにしたイラストに一つ目って居るだろ?あんな感じで目が真ん中に一個だけ、んで苦しそうに血走っていて何か恨めしそうに一点だけを見つめていた

やがてそちら側のホームに電車が来てその二人も乗り込み、後は何事も無かったかのように元の日常に戻ったらしいんだけど、姉が余りのショックで暫くふさぎ込んでしまったらしい。現役婦人自衛官で屈強なイメージが強かった為ちょっと信じられなかったよ

結構日常の中に非日常って紛れ込んでいるんですね

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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