昼食後、歯が痛くなった・・・何とか我慢して仕事を終えたが・・・
帰りの電車で、激痛と闘っていた・・・冷汗が流れ、凄まじい形相で一点を見つめていたら、前に座っていたオバさんが怯えていた。
駅を出て少し歩くと、歯医者があった。
恐ろしく朽ち果てた建物に「○○歯科医院」と古ぼけた看板がしがみついている。
この際、何だろうと構わない。入っていくと受付から脱衣婆のような女が覗いた。
薄暗い診察室に入ると、そこに歯科医らしき男が座ってこちらを向いていた。
何かとても嬉しそうだ。白衣ではなく旅館の浴衣のようなものを着て、スリッパを履いている。
髪の毛は数える程しかなく、つぶらな子供のような目をしてパチパチと瞬きをしていた。歯科医のくせに歯は三本くらいしかなく、そうだ!レレレのおじさんによく似ていた。
あのぅ・・・・
私が話そうとすると、歯科医は突然立ち上った!
はあぁ〜ああぁ〜ああ〜
何と驚いたことに民謡を唸りだした・・・・
なかなかいい声である。。と、余計な事を考えながら暫く茫然自失な状態でいた。
あのぅ・・・先生ぃ・・・
はあぁ〜ああ〜あぁ
歯科医は気持ちよさそうに唄い続ける・・・・
その時、脱衣婆が突然出てきて・・・
はあぁ〜歯ぁ〜どうした?どうした?
私はこいつらが怖かった。
歯の痛みは不思議に消えていた。
歯あぁ〜どうした?
脱衣婆はまだ唄っている。
私は逃げるように医院を後にした・・・
怖い話投稿:ホラーテラー 洗島の八さん
作者怖話