短編2
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洗う手首

数十年前になりますが、私が上京してすぐに住んでいたアパートは、昔ありがちな風呂ナシ、水場は共同の古ボケたアパートでした。

相場に比べ半分以下の家賃で、敷金礼金もなく部屋を借りる事が出来たのと、男一人での上京だった為、汚くてもあまり気にせず部屋を借りました。

住み始めてから1ヶ月頃だったでしょうか…

夜中に部屋の外の流し台から水が出る音がするんです。

「ジャー…」っと流れる音が続き、一向に水が止まる音がしません。

不思議に思い、外に出てみると誰もいなく、水道から水だけが流れていました。

その時は「誰か別の部屋の人の止め忘れだろう」と思い、水道を止め、眠りにつきました。

それから毎晩…必ず決まった時間に水道が流れるようになりました。

さすがに水道の音とはいえ、勢いよく流れる音は耳障りで、不動産屋に連絡を入れました。

すると、不動産屋が「それ、何時頃に水流れるんですか?」と聞くんです。

私は「確か、夜中の12時ちょっと過ぎ位かな…」と答えると、不動産屋はこう続けました…

「半年程前にその部屋に住んでいた人が、流し台で水道を流しながら手首を切って自殺したんです。

その自殺した人はちょうど水が流れ出すのと同じ夜中の12時過ぎに命を絶ったらしく、次にその部屋に入った人も夜中に水道が流れ、その2週間後に幽霊に襲われたと、部屋を出て行きました。」と…

その話を聞いて、私はとてつもない恐怖と寒気に襲われました。

だって、不動産屋とその話をした日は水が流れだしてからちょうど2週間後…

その日は恐怖でアパートに戻る事も出来ずに、公園のベンチで夜を明かし、翌日すぐにその部屋を出ました。

数ヵ月後、その町へ訪れる機会があり、ふとアパートの前を通ると、あの部屋に明かりがついていました。

次に借りた人も同じ体験をしたのでしょうか…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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