中編3
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見知らぬ来客

20年以上前、郷里の群馬に住んでいたときの事です。

群馬の山間部で、ど田舎だった事もあるのですが、当時はとても大らかでした。

日中は戸締まりしてない家も多く、顔見知りの親戚程度なら、勝手に家に上がって家人の帰りを待ってたりとか日常茶飯事でした。

近所の顔見知りでも、(さすがに無人の家には入らないですが)誰かが茶の間にいれば、当たり前のように入り込んで茶飲み話とか良くある光景でした。

ある日の事、まだ小学校三年生だった私は、学校から自宅へ帰ってきました。

朝出るときに言われてたのですが、両親は近所の会合だったかで夕方まで留守ということだったので、茶の間で、親がコタツの上に置いて行ったお菓子を食べながらTVを観ていました。

すると、玄関にお姉ちゃんが帰ってきました。

(お姉ちゃんは私より二学年上の五年生で、同じ学校に通っていました。)

「ちょっと○○ちゃんの所に遊びに行って来るね」

帰って来たばかりなのに、早速ランドセルを自分の部屋に置いて、コタツの上にあったお菓子を何個かポケットに入れて出て行こうとしました。

すると、入れ違えに玄関へ中年の男性がやってきました。

「やあ、こんばんはー」

見た事のない人だったので、不安げにお姉ちゃんに目配せすると、お姉ちゃんは

「ああ、親戚のおじさんね。こんばんは。親は少ししたら帰ってくるから待ってて。」

そう言い残して、私と男性を残して、さっさと友人の家に遊びに出て行ってしまいました。

私はあまり人見知りしないタイプだったし、相手も知らない親戚らしいので、かなり緊張しました。

どうすればいいか判りませんでしたが、まだ子供だったのでTVの続きが気になって、正座して続きを観てました。

すると男性はニコニコしながら何か語りかけてきました。

「お父さんとお母さんは居ないんだね?」

「はい」

「僕はね、お父さんの親戚なんだけど、ちょっと修理頼まれてるんだ。部屋見せてくれないかな」

「いいよ」

何か大工のような事をしてくれるのかと思って、二階の私とお姉ちゃんの部屋まで案内しました。

男性は部屋に入ると室内を見渡し、窓の閉まり具合を確かめてカーテンを閉めました。

その時、閉める間際に窓越しに、お父さんとお母さんが帰ってくるのが見えました。

家の傍の道路をこちらに歩いてくる途中でした。

「あ、今ね、お父さんとお母さんが道路歩いてこっち来てるよ。」

私がそう言うと、男性はニコニコしていた表情が一変し、見るからにこわばったような表情に。

しかも、凄い早足で階段を下りて行きました。

「そっち、茶の間じゃなくて、裏口のほう!」

私の言う事が聞こえないのか、なぜか男性は裏口をすばやく開けて、家の外に飛び出して行きました。

それから30秒くらい経過した後、両親が家に辿り着いて玄関から入って来ました。

「いやー、町内会長の話が長くて長くて!」

「変わったとか特に事なかった?」

私は先ほどまで居た男性の話をした所、だんだん両親は怪訝な顔をしてきました。

「今日来るような知り合い居たっけ?」

お父さんは腕組みして、思い出そうとしている間、

お母さんは、お姉ちゃんが行っている友達の家に電話しました。

幾つか会話をやり取りした後、電話を切ってお母さんは言いました。

「お姉ちゃんが言うには、見た事ない人だったけど、馴れ馴れしかったから親戚と思ったってよ」

お父さんは、家の周りを見てくる!と血相を変えて出て行き、

お母さんは、さすがに怖くなって警察に電話しました。

よく来る近所の人とか親戚だったら、いくら三年生の私でも顔見れば大体判ります。

逆に、滅多に来ない人なら、前もって連絡ぐらいはあるはず。

もし、両親の帰ってくるのがもう少し遅かったら…

あくまで推測しか出来ませんが、恐ろしい事になっていたような…

それ以来、日中でも基本的にあちこち施錠するようにし、

特に子供だけで留守番している間は、知らない人が来たら絶対に家に入れない事になりました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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