短編2
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首吊り神

これは私の地元で祀られている存在の話です。

私が中学生の時、授業で地元の言い伝えを調べる事になり、

私の班は近所の祠について調べることになりました。

その祠はいわく付きで、戦前何人もその場所で命を落としていて、しかも全員同じ死に方だったそうで、気味が悪いと思った近隣の人々が黒い岩と大きな木があるだけのその場所に祠を作り、祀ったところ、そこで人が死ぬことはなくなったという話です。

私達は詳しく調べようと、当時を知るおじいさんに話を聞かせてもらう事にしました。

「君たちは首吊り神の祠の話が聞きたいんだったね。

あれの始まりはある人の夢だった。夢のなかにあの岩が出てきて、その人に語りかけた。」

「わしは◯◯と言う。わしはお前の命が欲しい。だがこのままではそれはかなわん、だからわしの名を呼べ。

そうしたらわしは力を得てお前を食う事ができる。」

「目が覚めたその人は気味が悪いと思ったが、所詮は夢だろうと周りの人に夢の話をしてしまった。そしたら次の日の朝、岩の前の木からその人の首だけが吊り下がっていた。

皆で首から下を探したが、ついぞ見つからなかった。

そしてある人が気づいた。岩が少し大きくなっていることに。

それからというもの、何度も同じ事が続いた。

おそれた人々はそこに祠を建て、その名を二度と呼んではならんと決めた。」

おじいさんから聞いた話はこんな感じでした。

それはおじいさんに話を聞きに行った日の夜でした。

おじいさんが行方不明になりました。

おじいさんは足が不自由で、一人で出歩けるはずがないと、近所の人たちが探しまわりましたが、結局その日は見つかりませんでした。

しかしその翌日の朝、おじいさんはあっさり発見されました。

首だけが。

私は後になって話を聞いただけですが、おじいさんの首は祠の前の木に吊るされていたそうです。

しかもおじいさんの頭からは、生前禿げあがっていた頭から何故か長い髪の毛が生えており、その髪の毛が木の枝に絡まるようにして吊るされていたそうです。

私は親からこの話を聞かされて驚愕し、同時に恐怖をおぼえました。

何故しばらくなかったこの現象が私たちが話を聞きにいったタイミングで起こったのだろう。

昨日のことを思い出していると、あることに気づきはっとしました。

昨日おじいさんが首吊り神の名前をしゃべっていたことです。

私の恐怖はさらに大きくなりました。私達はその名前を聞いてしまっていたからです。

あれから10年近くたちましたが、今のところあの時の班のメンバーは皆健在です。

しかし何かの拍子にあの名前を言ってしまうかもしれないとゆう恐怖は今もあります。

怖い話投稿:ホラーテラー 秋獅子さん  

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