短編2
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優しいノック音

先日にO先輩の話を投稿した者です。

今回は今の職場で起きた体験談でも話してみる。

季節雇用で、とあるスキー場のリゾートバイトをしてる俺は、

オカルト大好きな訳で。

暇すぎる寮の中で暇潰しと言ったら、ホラテラ見てるかモンハンしてるかくらいしかやることがない。

そんな暇な寮の中で、ちょっと奇妙な体験をした。

その日も飯食って風呂入って暇を持て余してたから、

別室のT先輩の部屋に遊びに行った。

T先輩は人当たりのいい性格で、色々な人が部屋に遊びに行く感じだった。

その日も集まった皆で他愛の無い話をしてて、

俺は座るスペースがなかったから、扉の目の前にちょこんと正座してた。

すると、ドアが「コン、コン」と叩かれた。

俺は、

「あっ、また誰か遊びに来たな」

と思い、はーいと返事をしてドアを開けた。

でもドアの外には誰もいない。

長い廊下には隠れるスペースもないからイタズラでもない。

おかしいなと思っていると、

T先輩が「どうしたん?」と隣に来た。

「いや、今ノックされたような気がしたんですけど…」

と返すと、どうやらT先輩も聞いたらしい。

すると、別室のドアが開き、

俺の高校時代からの先輩、M先輩が出てきた。

M先輩は開口一番で俺に向かって

「今お前ノックしただろ」

って言う。

俺がノックしてないのはT先輩が証明出来る。

むしろM先輩こそT先輩の部屋をノックしたんじゃねーかとか思ったが、

今出てきたM先輩に出来る訳ない。

変な空気のまま、その日は皆寝付いた。

ここからはM先輩の体験談になる。

夜、寝付けないM先輩は携帯をいじりながらゴロゴロしてた。

やっとウトウトしかけた頃に、部屋をノックする音が聞こえた。

時計は夜中の一時。

うぜぇから無視をするM先輩。

しばらくするとまたノックの音。

明日も仕事なのでガン無視を決め込むことにした。

それでもノックの音が続く。

誰か、用があるのかなと思ったが、こんな夜中に何があったと言うのか。

ふと、先程の出来事が頭に浮かんだ。

途端にノックの音が不気味に聞こえる。

M先輩は無理にでも寝ようとして、気が付くと少し寝ていたらしい。

「何が不気味って、めちゃくちゃ優しいノックなんだよね」

とM先輩は語る。

俺が興味津々にM先輩の話を聞いていると、

「あ、それでな」

と、話の続きを語りだした。

「もうノックの音しなくなったから寝てたらさ、

スゲー勢いでドアをドンドンドンドン!って叩かれてさぁ。

それがずっと続いたもんでその日は寝れなかったわ。

朝方にようやく音が消えたけどね」

俺がその日から部屋に鍵をしっかりかけているのは言うまでもない。

寮の中の話はまだまだある。

が、それはまた次の機会にする。

では失礼。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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