中編3
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ある夜、怖い話が見たくなり、友人Bとじゃんけんをして負けた方がDVDを借りに行くことにした。

じゃんけんで負けた 私はビデオレンタルショップまで自転車をこいだ。 それで適当にタイトルだけを見て

「ひとりかくれんぼ」を借りることにした。

 外は真っ暗、自転車で竹藪の前を通らなければならない。

 行きの爽快感とは逆に気分が重くなり、何かに見られてるような気配がして急いで家路へ向かった。

さて、その夜はDVDを借りたことを忘れ、ひたすら騒いで寝た。 真夜中、目が覚めたうすら眼を開けて、同じ部屋で寝ていた友人Bの様子がおかしいことに気づいた。 

 何やら人形をカッターナイフで突き刺している。

 声をかけようか迷ったが、異様な様子に寝たふりをした。 

 そのまま朝になった。Bは至って平静だった。 Bは、

「そういえば昨日なんか借りてきた?」

と聞いてきた。

私は

「借りたよ。怖そーなやつ」

と言った。もちろん帰ってきてすぐ騒いで寝たのだ。 タイトルすら忘れてしまっていた。

じゃあ、夕方になったら見よう ということになった。 

 夕方になった。テレビのスイッチを付ける。

 「ひとりかくれんぼ」が始まった。 見進めてあれっと思った。

 人形の腹をカッターで裂いて、綿を取り出す。 髪の毛を詰めて赤の糸で縫い合わす。

 昨日の夜の友人の行動とそっくりである。

 私はもしかしてこのやりかた、知ってた? と聞いた。

 友人は 「知らない、始めてみた」

 と言った。

「うそだ、知ってたでしょ。昨日の夜やってたじゃん私がなに借りてきたかこっそり見たでしょ」

その瞬間友人の顔が豹変し、とり憑かれたように 部屋を荒らし始めた。 障子を破き、電気スタンドを壊し、訳のわからない悲鳴を上げている。 

 そこに、「ピンポーン」と私の彼氏Aが来た。

 今の状況をおかしい、と思ったのか、すぐにBを止めに入り、いきさつを聞いてきた。

 「このDVD借りた時に何かがお前に憑いてきて、乗り移ったんじゃないか?」 

 すぐさま見終わらないうちにDVDを返しに行くことにした。

 私たち3人が玄関から出ようとした、その時、

誰もいない奥の戸が「ギィ」 と開き、

ひた…ひた…

と、ついてくる足音が聞こえた。

その音は彼氏Aには 聞こえなかったようだった。

 「何してんだ、行くぞ」 

「あ、うん」

しかしBの様子がおかしい。Bは彼氏Aに捕まれていた手をものすごい力で振り払うと家に入ろうとした。

「私…行けない…まだ…

終わってない」

「もうあんなやつほっといて返しにいこうぜ」

返せば大丈夫だろうと思っていた。私たち2人はビデオレンタルショップから出てきた。

「Bに何か買ってこうよ。」

「そうだな」

かれこれ1時間くらいたっただろうか。

「ただいま~。」

「ただいまB!大丈夫?ケーキ買ってきたよ!」

Bに返事はない。

「B!B!どうしたの?」

風呂場から水が漏れだしている。 

浴槽の中には赤い糸でいびつに腹を縫い合わされた人形が浮かんでいた。 

「まさか…」

テレビには砂嵐が映されている。

私達は部屋中の押し入れや人の隠れられそうな場所を探した。

「…」 

そこは和室の押し入れだった。 茶碗に入った塩水が不気味に揺れている。 

あれ以来Bは行方不明だ。

Bは「ひとりかくれんぼ」を実行してしまったのだ。

あれは降霊術だ。

無意識にも私が連れてきた霊がDVDを見る前からBにやらせていた。

私たちがBの名前を読んだとき、Bは塩水を置いて外に出てしまったため連れ去られたのだろう。

憑いてきた霊の目的は?

自分の道連れを作ろうとしているのだとしたら?

今でも夜中人形を抱いて無意識に起きてしまうのだ。

Bの声が響いてくる。

「人形のはらわたをぜーんぶ取り出して、それで髪の毛を詰めるんだよ」 

怖い話投稿:ホラーテラー マージンさん   

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