短編2
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『ピギー』

僕には『武人』という友達がいる。

彼は外界から隔離された浜で一年間一人で過ごすと言う荒行に挑戦していた。

武人には人とは、ちょっと違う特殊な能力がある。

オカ板では珍しくもないが、『霊感』があるのだ。

僕は自称『霊』が見えると言う奴は、あまり好きではない。

実際に『霊』が見えても勘違いと思うタイプだ。

だけど、武人とは何故だか気が合う。

僕には『ピギー』と 言う相棒がいる。

こいつは、僕の脳が作り出した幻覚だ。

幻覚だが、今まで随分世話になったり、世話をした。

不思議な事に幻覚の『ピギー』を武人にも見えるのだ。

前置きが長くなったが、今回は『ピギー』の話だ。

僕は、先島諸島のある島に移住した。

離島移住ブームの最中で住居を探すのに大分苦労した。

ドミトリーに滞在してバイトしながら、良い物件を探していた。

ある日、不動産屋から物件が見つかったと電話を貰った。

人気の赤瓦の一軒家だった。

相当古いが贅沢は言えない。

即契約した。

築数百年で、便所がひどい!

昔のこの地方では珍しくないのだが、豚を飼育するスペースがあって、その上に穴がある。

それが便所だ。

つまり住人の糞尿が豚のエサになる仕組みだ。

そこに住み始めて数ヶ月、ある事に気が付いた。

なんか獣臭いのだ。

そして、豚の鳴き声が聞こえる‥?

程なくして、豚の幻覚が見えるようになった。

その豚は右目が無く体中傷だらけで、なにより体が透けて向こうの景色がうっすら見えているのだ。

そんなんで、僕は豚の幻覚だと思った。

僕は自宅の便所で大をしたくないので、できるだけバイト先で済ましていたが、我慢出来ない時は、仕方無くする。

すると豚の幻覚は大喜びで穴の下に回り口を開けて待っているのだ。

最初は便意も失せたが慣れって怖いもんで普通に出来るようになった。

幻覚の豚との奇妙な生活は割と楽しかった。

僕は豚に名前を付ける事にした。

昔、通った宮古島の教習所の教官が右に曲がれを「そこピギー」と言っていたのを思い出し、右目の無い豚を『ピギー』と名付けた。

それ以来『ピギー』は、いつも僕の側にいる。

『ピギー』との奇妙な話は、またの機会に…

怖い話投稿:ホラーテラー マア坊さん  

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