短編2
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ピギーと武人

僕はレンタカー屋でバイトしていた。

いつものように、空港まで、お客さんを迎えに行った。

お客さんは感じの良い老夫婦だった。

話しをすると、ツアーパックにレンタカーも含まれているが、高齢で運転に自信が無いとの事。

運転代行サービスは無いかと訊ねられ、できたら僕にやって欲しいと言われた。

丁度、明日は休みだったので、引き受けようとした。

すると、僕の相棒の豚、ピギーが「ブヒブヒーッ」と泣く。

ピギーは僕の作り出した幻覚の豚なので、他の人には聞こえない。

どうやら、ピギーは止めておけと言っているようだ。

僕はピギーの忠告に従う事にした。

次の朝、ピギーと朝の散歩に出かけた。

いつもの散歩コースを歩いていると、ピギーが道をそれて走り出した。

追いかけて行くと樹没した御嶽に出た。

何となく神聖な気持ちになる。

ピギーを探し、キョロキョロしていると、なんと名倉武人がそこにいた。

相変わらず真っ黒で、モジャモジャ頭だ。

『ジャングル』で会って以来久しぶりの再会だ。

翌日、返却時間を過ぎても老夫婦は現れなかった。

それは自殺したからだった。

観光地の岬から飛び降りだった。

観光地と言う事もあり、目撃者も多数あり、すぐに自殺と断定された。

僕は少しも驚かなかった。

こうなる事は昨日、武人から聞いていたからだ。

武人は何故だかピギーの言葉が解るらしい。

武人は語る、ピギーが言うには、あのアッチー(爺さん)は自殺する為に、この島に来たのだ。

一人で死ぬつもりだけどアッパー(婆さん)も、もってかれる。 

アッチーの死を望む気持ちに呼応しマジムン(魔物)が集まってる。

アッパーのマブヤー(魂)まで黒く染まっている。

僕「助けないと!」

武人「やめとき‥死体が一つ増えるだけや」

僕「…」

武人「良かったな。ピギーが止めへんかったら、マア坊のマブヤーも黒く染まってたで」

それは死ぬと言う事なんだろう。

その日、武人を家に招いた。

門の前まで来たが、武人は家に入らなかった。

「俺はこの門より先には入れんわ」

武人はそう言って去って行った。

怖い話投稿:ホラーテラー マア坊さん  

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