中編3
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泊めてください

これは、数年前の夏の事です。高校2年生だった僕は、お盆前のある日、家族で親戚の家へ泊まりに行く事になり人の少ない田舎へむかいました。

親戚は秋ごろに引越すことになっており、家に行くのは最後だった。

親戚の家は、かなり老朽化していたが、広く、とても大きくて、都会の狭いマンションに住んでいる僕らの家族から見れば、うらやましいものでもあった。

親戚と楽しい時間を過ごし、歳の近い人たちと話していると、ついつい夢中になってしまい、寝るのが遅くなってしまった。

みんな2階で寝ていたが、深夜までケータイをイジっていた僕は知らぬ間に一人、一階でうたた寝してしまっていた。

 コンコン・・・

玄関のドアをノックする音が聞こえ、目を覚ました。開きっぱなしのケータイの画面に2:00の

時刻表示。

気味が悪いと思ったが、気になって玄関を見てみた。

女の人の影。

あっ、見てはいけないものを見たと思い、背筋にひんやりとしたものがとった。だが、

「すみませーん。誰かいらっしゃいませんか?」

という、少し明るい声に少し安堵した。

ゆっくりとドアを開けた。顔は普通だし、優しささえ感じられる雰囲気に、恐怖は薄まっていった。

彼女は何も言わないが、なぜか、ここに泊めてほしい。

と、いっているように思えた。

だが、今は誰も寝ているし、近くには、2、3件

の家がある。

僕は、なんとなく断った。

すると、彼女は、悲しそうな顔をして、何も言わず、後ろを向き、歩いていってしまった。

ドアを閉め、部屋に戻った瞬間、何かとんでもない恐怖にかられた。

わけもなく、窓のカーテンを開け、外を見る。

外には、さっきの彼女の姿があった。歩いていない。

ただ、立ち尽くしていた。

そして、ゆっくり、ゆっくり、頭だけが、こちらをむいてくる。

怖い。見たくないはずなのに、彼女から目が離れない。

ゆっくり、ゆっくり、

顔はありえない角度まで回った。

白く、冷たい顔。

さっきとは別人のようだった。

彼女はバックで、僕に近づく。

一歩、また一歩。

その速さはだんだんと増してゆく。

今にもはちきれそうな心臓。

窓を閉めろ! 閉めろ!

必死に自分に訴える。

手は動かない。

もうだめだと思ったとき、手に力が入り、窓を

思いっきり閉めた。

パニック状態の自分。

数秒間。

なにも起きない。

もう来ないか?

そう思ったとき、ドン。

何かが窓にぶつかる音がした。

一瞬にして体がこわばる。

ドン。ドンドン。

衝撃は強まってゆく。

震えた手から、力が抜けていく。

開けてはならない。

精一杯のちからをてにこめる。

が、

ガラン!

外の風が体をつつむ。

開いてしまった・・・。

頭は真っ白。

何も考える事はできなかった。

初めて感じた 死

大丈夫?

親戚の声で目を開ける。

夢を見ていたようだ。

良かった。

心から緊張が解け、

安堵の息をもらした。

そして、親戚の叔母はいった。

「窓なんか開けて、何してたの?」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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