短編2
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娼婦

今から20年以上昔、私はよく横浜の繁華街で飲んでいました。

何軒かハシゴをして街をうろついていると全身を白い衣装で包み、顔も真っ白な白粉をしている娼婦「メリーさん」と良く会いました。

ある日アフターで店の女の子と焼き鳥屋に行くとそこにメリーさんが来て、たまたま隣に座ったので一緒に飲んだ事も有りました。

それから数年たち、仕事も変ったのであまり繁華街に飲みに行く機会も無くなったのですが、ある日友人に誘われて久しぶりに行くことになりました。

1軒目を出た後友人は翌日仕事が有ると言い帰りました。

私は飲み足りなかったので一人で昔のなじみの店に久々に顔を出そうと思い向かいました。

その店はまだ横浜にクラブが数件しか無い頃から営業していると言う路地の先の店です。

路地を曲がって店に向かうと前方からメリーさんが来てすれ違いました。

相変わらず大手のデパートの紙袋を持って真っ白で・・

私は久しぶりだなぁと思いましたが、次の店に行き飲んでいました。

後日友人が来たので別れた後の話になり、「そういえば久しぶりにメリーさんと会ったよ」と言うと友人は怪訝そうな顔をします。

訳を聞くとメリーさんは友人と飲む数年前に引退した後亡くなったと教えられました。

まさかメリーさんと同じ姿を別の人がしているとは思えませんので、すれ違ったのはメリーさんだったと思います。

先日ビックコミックスピリッツのバンビーノと言う漫画を見ていたらメリーさんがモデルと思われる人物が登場したので思い出した話です。

メリーさんのご冥福を祈ります。

怖い話投稿:ホラーテラー オレンジさん  

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