中編2
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サラリーマン達の夜

僕はその日の営業を終えて、帰途についていた。

すると、先を歩く取引先の田中さんを見つけた。

田中さんは僕と年齢も近かったこともあり、覚えている。

先日お会いしたときに、

「今度はプライベートでお会いしたいですね」

とも言っていただいたのを思い出した。

これも何かの縁と、僕は田中さんに話しかけることにした。

「田中さん、こんばんは。」

「!あぁ、どうもこんばんは。」

と僕の顔を見て驚いたような表情を見せた。

-いきなり話しかけて驚かせてしまったかな?-

「偶然姿をお見かけしたので、声をかけさせていただきました。」

「あぁ~どうも気を使っていただいて…」

「田中さんはいつもこの時間に帰られるのですか?」

「えぇ…まぁ。えっと………あなたもですか?」

「はい。田中さん、お時間ありますか?これからどうでしょう?」

と僕は酒を飲む仕草をする。

「あっ、はい、いいですよ。」

「よかった。じゃあ良い店知っているので行きましょう。」

「すいません田中さん、急に…」

「いえいえ…」

田中さんは顔を掻きながら答えた。

…なんか田中さんそわそわしているな…やはり飲みは迷惑だったかな?

そんなことをついつい考えてしまう。

「えっと…キクチさんは…」

不意に田中さんが口を開いた。

菊池は僕の上司で、先日の取引で同席していた。

「あっ、菊池ですか?取引がうまくいったので、上機嫌ですよ。おかげさまです。」

「!あっ、そうでしたか、それは良かった。」

しばらく歩くと公園が見えた。

「この公園を抜けましょう。近道なんです。」

と僕は言い、薄暗い公園へと入っていく。

…?

公園の中程まで来て、違和感に気付く。

田中さんが下を向き立ち止まっている。

「…?田中さん?」

僕が近づくと、田中さんが顔を上げた。

その顔は白目をむいていた。

そして、とても低い声で

「我はこの地の守護霊なり…汝…名を名乗れ…」

と唸った。

パニクった僕は

「き、木島です!」

と名乗った。

「ォオ…そうか…」

と田中さんは言うと、数秒目を閉じふらふらと座り込んだ。

「大丈夫ですか!?」

と僕が聞くと、田中さんは立ち上がり

「あぁ~また憑いちゃったか。よく憑かれるんですよ。気にしないで下さいね。行きましょう…木島さん。」

田中さんは照れたように笑った。

僕らは店へと歩き出した。

あの体験は怖かったなぁ。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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