短編2
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廃屋

小学校の頃に私が体験したお話です。

近所の山に竹薮がありまして、そこは色々といわくの付けられた場所で、

地元では有名でした。

つちのこ、口裂け女、山姥など、都市伝説の集大成ともいうべき場所で、

子供達の格好の冒険と伝説の的でした。

この山の竹薮の奥に、人の住んでいない廃屋がありました。

この廃屋まで進めれば、まさに勇者と呼ばれるくらい不気味な家です。

山の入り口には、必ず数十名の子供たち(私も含めて)が屯しており、手にはBB弾の銃や、玩具の

剣などを持って、流行っていたドラゴンクエスト

の気分でした。

3人から4人がパーティ

になって、奥の竹薮へ進んで行くんです。大概は

遠目から廃屋に向かって

銃を撃ったり、爆竹を投げたりで帰ってきます。

あるとき、3人のパーティで私達はこの山へ入りました。

入り口で違うパーティと

口論になり(要は度胸の

多寡の問題です)僕らが

先陣をきって突入したわけです。

爆竹を鳴らしまくり、BB

弾を撃ちまくり、剣で草木を薙ぎまくりました。

もう夕方近くだったと思います。山の中はかなり暗かったので。

僕ら3人は、後方から続く5~6人くらいの奴らに見せ付けるため、竹薮を越えて廃屋まで近づいてしまいました。

ここまで近づいたのは、

僕らが初めてです。

後方から、さっきまで僕らを詰っていた奴らが逆に歓声を送っています。

僕らも後に引けなかったのかも知れません。勇者になったつもりだったのだと思います。

廃屋の正面口の扉は引き戸になっていて、それを

蹴り破ったのは僕です。

今でもよく覚えてます。

中は暗くて、すっごく怖かった。奥から山姥が出てきたらどうしようなんて思ってましたね。

けど、度胸のある二人が

中へ入って行きました。

尊敬しましたね。二人とも勉強は苦手だけど、こういうゲリラっぽい行動が得意というか。

僕は最後方で彼らの後ろに続きました。恐怖はもう限界こえそうでした。

内部は、広間から正面に仏壇があって、左奥には台所があるようで、右奥にはもう一部屋あるようでした。

広間にスケッチブックが落ちていて、そこに絵が描かれていて、子供が描いたマジンガーZの絵が妙にリアルで怖かったです。後は動物とかが描かれていました。

で、そのスケッチブックには赤いクレヨンで「だいどころにはくび」「おくのへやにはからだ」と書いてありました。僕の恐怖はもう、限界こえそうでした。

そのとき、友達が右の部屋の扉を蹴飛ばしたんですよ。

すごい音と埃の煙で。

「お、紙が落ちてる!」

友達はそう言って紙をひろいました。

「よんでみて!」

僕が言うと、友達が

「うしろみないで、だいどころからくびがくる」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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