「それじゃあ、先輩。
僕はそろそろ行きます。」
「彼方君。」
「なんですか?」
「いや、なんでもないわ。
いってらっしゃい」
「はい、行ってきます!」
「…気をつけて」
先輩と別れたあと、
僕は遙との待ち合わせ場所へ急いだ。
今日は、二人で過ごす初めての誕生日。
この日のために、色々考えてきた。
確かな自信を胸に、歩を速めた。
今は、午後7時15分。
待ち合わせの時間までは、まだある。
「少し遠回りしよう」
そして、あの場所へ。
「えっ、遙」
「遅かったな、彼方」
「…先輩?」
その手には、ナイフ。
滴るは、血。
「なんで先輩が…」
「約束したからな」
「約束?」
「ああ、約束だ」
その目は、確実に僕を捕らえている。
殺意に満ちたその目。
そして、わらった。
それは、人を殺せる悦びで。
これは一体なんなんだ!?
何がどうなってる…。
混乱する意識の中、僕は問う。
「…あなたは誰ですか」
「久遠」
2011年2月16日、午後7時52分。
それは、とても静かな夜のこと。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話