短編1
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タンス

安いアパートに引っ越した俺。風呂なしでトイレ共同。和室に押し入れだけの質素な部屋だが、家具が備え付けだという話がついてきたので借りた。

さっそくその備え付けの家具を見てみると、思ってたより年代物のタンスだった。

「くさ」

ほのかに香る加齢臭。おそらく高齢者が使っていたものだろう。

俺はすぐ近くにあるリサイクルショップにスタイリッシュなタンスがあるのを知っていたので、迷わず買い換えようと思い、とりあえずタンスをどかし、部屋の外に置いた。夜も遅いので買いに行くのは明日にして、寝た。

その真夜中、玄関の戸を叩く音で目を覚ました。暗くて誰が叩いているか分からない。でも真夜中だし、シカトしても大丈夫そうだったので、寝た。

翌朝、アパートの階段を掃除していた管理人さんに真夜中にあったことを話すと、

「もしかしてタンス動かした?」

と言われたので、素直にうなずいたら、すぐに戻せと小声で囁いた。

どうやらあのタンスは曰く付きらしく、あの部屋から動かそうとすると決まって変なことが起きるので備え付けにしたのだという。

俺はしばらくスタイリッシュなタンスを買えないだろう。

怖い話投稿:ホラーテラー 警視庁特命係さん  

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