「カチッ……カチッ……カチッ……」
布団に入ったが全く眠れない。
時刻は夜中の2時20時すぎ…。
壁掛けの時計の秒針音だけが聞こえる…。
真っ暗な部屋。
天井の豆電球が淡いオレンジ色で部屋を照らす。
「眠れない…」
「明日は仕事なのに…」
寝る前に飲んだリポビタンDが原因だろう。
眠ろうとすると余計に眠れない。
そんな日に起きた出来事。
住んでいるのは集合団地の二階。
間取りは3DK。
部屋の中央にリビングがあり和室、キッチンが襖を挟んで繋がっている。
寝室はキッチンの裏手に壁をはさんである。
その部屋は風呂場、トイレとも繋がっている。
寝ているのはその部屋。
その部屋は入口から左手に襖があり右手には身長と同じ程度の縦鏡が置いてある。
目の前はベランダ。
そう…。
その部屋は子供が指を指す襖。
未だに子供が現れ襖を指さしている…。
天井の豆電球が淡いオレンジ色で部屋を照らしている…。
「ガァッー…ガァッー…ガァッー……」
隣には揖斐をかいて寝ている妻。
「ミシッ…」
「ミシッ…」
「ミシッ…」
天井が軋む…。
「ガシャガシャガシヤ……」
冷蔵庫の氷が精製される音。
不思議と夜中の音には機敏になる。
皆さんもあるだろう。
夜中にこんな音がする筈がない…なんの音だ…
こんな音がする筈がないと…。
原因を探るだろう…。
不思議な音の原因を…。
ある筈のない現象の原因を…。
寝室の右手の鏡は寝るときには裏返しにする。
邪が映るから。
今までに何度も視ている…。
邪の幻影を…。
黒い影が映るのを…。
「カッカッカッカッカッ…カッカッカッカッカッ…」
階段をのぼる音。
音は玄関の前で止まった。
「ガサガサッ……ストンッ!」
何かが玄関のポストに入った。
通常、郵便物は集合団地の一階にいれる。
玄関のポストにはガスメータの検診、宅配便の不在届けしか入らない。
ましてやこんな夜中に…。
「気になる…」
「怖い…」
恐怖がより恐怖を仰ぐ…。
怖い話投稿:ホラーテラー 教祖さん
作者怖話