中編3
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掴む手

前住んでた家には幽霊がいた。

ある日自室で携帯を弄ってると弟が「タンスの下になんかおった!」と言いながら駆け込んできました。

私は「なんかってなによ?ゴキでもいたか(笑)」とからかい半分で尋ねました(弟は虫が目茶苦茶嫌い)。すると弟は頭を振って一言「………手」とだけ呟きました。

「手ってこの手のこと?」自分の手をヒラヒラさせながら聞くと頷き、「………掴まれた」と言いました。私の部屋に来て落ち着いたのか詳しく話してきました。

弟は自分の部屋のベットで寝転がりながら漫画を読んでいたのですがなんかタンスの方から「カリカリ………」と何かを引っかくような音がしたので、弟はなんだ?と思いベットから降りタンスに近付きました。タンスのすぐ近くに来た瞬間右足に何かの衝撃を感じ、驚いて下を見るとタンスの下から大きな「手」が伸びていて弟の右足をしっかりと掴んでいたそうです。

恐怖のあまり声もでなくなりながらも必死に足から引きはがし私の部屋に来た、と言うのです。

聞いた私はなんかの冗談かなぁ、と思い取り敢えず弟の部屋に行ってみました。部屋には特に変わった所もなく、何かがいたというタンスの下の隙間をみましたが勿論何もいません。

どうせ夢でもみただけだろうと言いましたが弟はホントにいたと言って聞きません。取り敢えずめんどかったから軽く流しておきました。

それから何日か経ったある日。一人で留守番しなくてはいけない日がありました。既に寂しいとか感じるような歳でもないのでうるさく言われなくていいや位に思ってました。

その日はゆったり過ごし夕食の時に普段飲まないお酒なんか飲んでみたりしたりお風呂に入ったりして後は寝るだけということで自室に戻る途中弟の部屋の前を通り過ぎたのですが、ふとタンスの下になんかいるとか言ってたっけと思い出したのです。ただの夢と断じたもののなんとなく気になってしまったのと多少酔っていて気が大きくなっていたので認してやれと思い弟の部屋に突撃。

電気をつけ部屋の中へ。例のタンスを確認するも勿論何もない。ついでにゲームでも借りてくかとしばらく物色してるとタンスの方からカリカリと何かを引っかくような音がしてきました。

固まる私。気のせいだと自分に言い聞かせながらタンスの方を見ました。ほらいない、そう思った次の瞬間タンスの下の暗闇から「手」が飛び出てきました。

思わずうわっ!っと声をあげるとその「手」は驚いたように引っ込んでしまいました。

しばらくタンスの方をじっと見ていましたが、その時私の中にあったのは得体の知れない物に対する恐怖ではなく驚かされた事に対する怒りでした。………慣れないアルコールを飲んでいたからだと今なら思います。

で、何を思ったか私はこの「手」をちょっとからかってやろうとしました。捕まえてやろうとかではない辺りが我ながらチキン

タンスのすぐ近くまで近寄りタンスの上に手をかけて手がくる時の音を待ちました。しばらく待つとまたカリカリと音がしてきたのでタンスの上の手に力を込めタイミングを見計らい自分の体を浮かして「手」をかわしました。そのままの体勢で引っ込むのを待ち引っ込むのを見届けてから謎の満足感を感じながら降りました。

しかしその瞬間勢いよく「手」が飛び出し私の足を握り潰さんばかりの力で掴んできました。ビビる私。悲鳴をあげながら足をばたつかせて引きはがそうとするが全く外れない。もがいてももがいても「手」は離してくれませんでした。

かなりの時間引きはがそうとしていました。もう抗う力もない私は泣きながらごめんなさいを繰り返し言うだけでした。すると急にフッと足への圧迫感が薄れました。この瞬間即自分の部屋へダッシュ。鍵をかけ朝になるまでテレビをつけっぱにして家族の帰りを待ちました。

これでおしまいです。

長文・駄文失礼致しました。オチはないです。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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