短編2
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奇形児

  

私が祖母から聞いた話である。

 

 

祖母の従姉妹は若い頃に産婆をしていたらしい。

まだ産婦人科なんて無くて、女が家で出産していた時代だ。

従姉妹も例外なく、妊婦の家まで赴きお産の世話をしていた。

抱える妊婦さんが多いと二人が顔を合わせる機会も少なかったようである。

なので、お盆だか彼岸だかで家に線香をあげに来た従姉妹と久々に顔を合わせた時は意気投合して話込んだ。

 

「●●ちゃん(祖母)、生き物を殺める職を持つ亭主はもったら駄目よ」

 

それまで、昔のことなどを話していたのに脈絡もなく言うので戸惑った祖母はなぜと尋ねた。

人のよさそうな猟師夫婦の家に赴いた時だったそうだ。

旦那が猟に出ている時に奥さんが産気づいた。

 

奥さんの方は初産だったようで、子供を産み終えるとあまり痛みに失神してしまったらしい。

 

従姉妹は弱弱しく泣く赤ん坊を産湯に浸けることはなかった。

 

普通の赤ん坊ならそうはしなかったが、赤子の耳から鹿のような耳が付いていたそうだ。

今後の奥さんや子供を不憫に思った従姉妹はその場で赤ん坊の首を絞めて殺したのだという。

 

後から目覚めた奥さんには

 

 

「体が弱く産まれたもんでしたから…」

 

 

と、だけ説明した。

人伝いに聞き、実体験ではないので私に本当かどうか見当もつかない。

ただ、事実であるなら悲惨だとその話を持ち出した祖母の神妙な顔を思い出す。

  

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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