いつもどおり、俺は満員電車に乗って会社に向かっていた
いつも、いつも人が多くて身動きが出来ない
電車が急に止まった
その時、後ろから笑い声が聞こえた
「くすくす、くすくす」
何がおかしいのかわからなかった
俺は会社に遅れるのが心配で、時間を確認した
「8時15分か、まだ大丈夫だな」
10分ほど時間がたち、車内アナウンスがあった
「只今○○駅で人身事故がありました。しばらくお待ちください。」
俺は大丈夫かなと、満員の電車のなかで広告を見ながら思っていた
笑い声がまた聞こえた。
次は右側、ちょうど肩あたりから聞こえた
「くすくす、死ねばいいのに」
俺は気持ち悪くなり右側を振り向こうとしたが、満員で体が自由に動かなかった
「くすくす、くすくす」
ずっと聞こえてくる
電車が動き始め△△駅でたくさんの人が降り、とりあえずゆっくり後ろを向いてみた
誰もいない
俺は次の□□駅で降り、ホームにいた駅員さんに聞いた
「車内から変な笑い声が聞こえるのですが」
「人身事故がありまして、その人は無くなってしまい、そのせいかもしれませんね」
俺は霊とかは信じないが、確かに聞こえていた
「くすくす、くすくす」
ホーム駅員さんにお礼を言い、俺は次の電車に乗ろうとした
その時、また笑い声が聞こえた
俺は後ろを振り向かず、そのまま電車に乗った
なぜか誰も乗っていない電車
変に思いながらも
先ほどの緊張からか、トイレに行きたくなった
一号車からトイレのある三号車まで歩いたが、誰も乗っていない
さっきまであった笑い声も聞こえない
変だ
小便をして鏡で手を洗っていると、鏡に車掌がいた
「お客さ~ん、これ回送ですよ~あれ~スーツにクリ~ニングの札が着いてますよ~ははは~」
そう、俺が気味が悪いと思っていた笑い声はスーツのクリーニングの札だったのだ
会社に遅刻の言い訳、何にしようか
怖い話投稿:ホラーテラー たいたんさん
作者怖話