短編2
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昨夜の出来事

怖いというより不思議な話

昨夜、帰宅するとリビングで妻が携帯片手に誰かと話していました。

私は、会社から帰るとまっ先に風呂に入るので浴場に向かった。

入浴後、妻がやって来て

「ねぇ!パパ、驚かないで聞いね。

井岡君、亡くなったそうよ」

井岡君は、不動産屋の社員で、私が住宅を購入した時に私の担当者だった方で、義母の友達の息子さんでもありました。その不動産屋さんも義母が真面目で誠実な人柄の井岡君が勤めているからと紹介してくれました。

井岡君は、本当に真面目で誠実な方で住宅購入後も何かと面倒をみてくれました。

「彼まだ若いだろう。何故、亡くなったの?病気?事故?」

「心筋梗塞だって井岡君、太ってたから、仕事中にいきなり倒れてそのまま亡くなったそうよ」

「いつ亡くなったの?」

「それが去年の2月に」

「去年の2月?もう1年も前やないか!」

「うん、井岡君のお母さんが息子が亡くなった事を周りの人には黙ってたらしいの、きっと気を使われるのが嫌だったんだと思う。」

私は、しばらく考えて

おかしい・・・

「おい、その話は本当か?間違いじゃないの?」

「本当よ、さっきの電話は私のお母さんが、この事を知らせるためにかけてきたんだから、お母さんも井岡君が亡くなったことを最近、知って先週、日曜日の一回忌法要に行ってきたと言ってたよ」

「おかしい、だって俺ら去年の夏に井岡君に会って話も少ししたやん、ほら去年の盆休みにスーパーに買い物に行った時、信号待ちしてたら、渡って行く歩行者の中に井岡君がいて、こっちがクラクション鳴らしたら気付いて車に駆け寄ってきたやろ」

「あっ、私も思い出した。」

「あの時、話も少ししたぞ、車の窓を開けたら井岡君が」

「こんにちは、暑いですね。お住まいの住み心地はいかがですか?何かあったら遠慮せずに言って下さいね。」

「そう言ってたやろ、すぐに信号が変わったから井岡君は走って渡って歩道から何度もお辞儀してたやん」

妻は、すぐに義母に電話をかけて確かめていたけど、やはり井岡君は去年の2月に亡くなっていました。

私達が会った井岡君は誰だったんでしょうか?

私は、仕事熱心な井岡君が、仕事中に倒れて亡くなったので、自分の死に気付かず、今でも営業にまわっているのだと思います。

怖い話投稿:ホラーテラー 人間失格さん  

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