これは兄に聞いた話です。
兄の会社の子会社に体の不自由な方がいます。
結婚されていてお子さんもいる、陽気な方らしいのですが…。
たまたまなんかの拍子でその方の体の話になったそうなんです。
あ、まずいなぁと兄は思ったそうなんですが、そこで話を変えたり聞かない方が失礼になると話を続けることに。
「俺のこれ、左手と首の水晶な。男のくせに似合わないって思ってんベ?」
その人は仕事中も外さず、兄も宗教関連か何かかと思っていてそれも話題として避けていたらしい。
これはいよいよ勧誘か?と身構えた時。
「俺な、十代で学生結婚なんだ。大学行ってたんだけどな」
結婚してからも合コンに参加するチャラい人だったが、浮気は誓ってなかったらしい。(女性関係はクリーンだったようだ)
ある日、いつもみたいに友人と飲んで、終電後に別れて線路沿いの道を歩いていた。
車が通れないぐらい小さい踏切を横目で見た瞬間にくらりと眩暈を感じ、気づいたら線路の上に立っていた。
真っ暗だったはずの空がうっすらと明るい。
朝か?寝てた?立ったままで?
カンカンカンと警報機が鳴っている。
始発か?どかねぇと。動けねぇ。あ、電車来た。
「なんて次に気づいたら病院で片足と手の指何本かなかった」
線路の真ん中で、一生懸命逃げようとしたが片足と片手が捕まれてて逃げられなかったんだと笑いながら話したそうだ。
「流石にお祓いに行った。訳わかんないけど、立ったまま寝るわけないし、酔いも醒めてたのにおかしいだろ?」
その時点で、何か見えないが生命の危険をぼんやり感じたらしい。
そこでお祓いをしてくれた坊さんが言った言葉も不気味だった。
「女の方が貴方の足と手の指を三本持ってますね」
包帯ぐるぐる巻きで怪我したのが左手までは見てわかるが、ギブスで隠れ失った本数まではわからないはずなのに当てられた。
それまで他人事のように感じていた事が、やっとリアルに感じられて、ぞっとしたそうだ。
今じゃ自分でも信じられないが、意識を取り戻して足や手が不自由になったというのにショックすらなく、妻や親が泣くのを不思議にすら思っていたらしい。
酔っ払って寝てたのか、自殺かと問い詰められたりしたが、線路に立ってただけだとしか言えない。
「多分、まだとりつかれていたんだろう」
それからは坊さんに貰った水晶を外さないようにして、毎年お祓いと水晶の交換をしていると話したそうだ。
自分の体の事で冗談は言わないと思いますが、酒が入っていたと言うので真偽はわかりません。
最後まで読んで下さり有り難うございます。
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怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話