短編2
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双人 改

親から虐待を受けていた男の子がいた。

この男の子には双子の兄がおり、去年親の目の前で双子の兄が亡くなるという悲劇が起きたためである。

数年前のある日、この男の子の家族は引っ越すことになり荷物を整えていた。

双子の兄は弟の姿が消えたことに気がついた。親に聞くと「蔵のほうに行ったわよ」と言われたので蔵に行ってみた。

蔵には弟の姿はなく、書物があったはずが何もなかった。

突然、蔵の扉が閉まり出られなくなってしまった。

扉は鉄版で作られており、あいにく蔵の中には何もない。

必死で鉄版を開けようと努力をしたが開けられなかった。

その音に気がついたのか、上の階から降りてきた弟。

蔵の中にいたことで兄は怒り、弟に言った。

「いたんなら、返事をしろ!」

弟は渋々謝った。

外では双子を呼ぶ声がした。

出してもらうために必死で大声を上げ音も立てたが、誰も助けてはくれないまま日が暮れた。

弟が隅に小さい穴を発見した。

穴をのぞくと、親たちが荷台を車に乗せて乗り込み、家から何処かへ出ていく様子が見えた。

弟が穴から必死で叫ぶが、誰も気が付いてくれない。

兄が蔵から弟を逃がそうと、2階にある鉄の壁を殴り小さい隙間を作った。

その小さな穴から弟がはいずり出て、外から蔵の扉を開けようとしたが開けられなかった。

扉にはレンガやコンクリートの塊、大きな鎖などで巻きつけられ開けることが困難だった。

弟は村に助けを呼びに行った。

弟から事情を聞いた大人たちは、扉に巻きついてある錘等をどけて蔵の中に入ったが兄の姿が見当たらない。

弟は大人と一緒に兄を探すが見つからなかった。

兄が見つからないまま三年が経ち、弟は村長の家で育てられ中学生になっていた。

兄が行方不明になった蔵はいつの間にか『お化けが出る屋敷』と呼ばれていた。

兄がいなくなってからもう3年…

一体どこに行ったのだろうか?

それから1年後、この孤島に船に乗りながらやってくる少年がいた。

甲板のうえで眺める少年。

窓から乗り出して船長が「少年!こんな島に何の用で来たんでい?」

少年は船長に顔を向けて少し口をニヤとして「仕事!」

と言い、再び海を見た。

怖い話投稿:ホラーテラー 天才さん  

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