中編4
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白い彼女

これは高校3年のときの話

当時、私はぼんやりとした何かを見るようになっていた

受験勉強で参っていたからだろう、と今はそう思うようにしている

霊とかいうのが一番苦手な私にとって、ぼんやりと見えるそれは苦痛でしかなかった

朝から夜まで勉強して12時頃散歩に行く

それが毎日の日課だった

10時以降は補導の対象になるようだが、特に気にはせずのんびりしていたように思う

散歩と行ってもぶらぶらと近所をうろつくだけ、気晴らしには最適だった

散歩コースはコンビニの裏側に伸びた道路から川まで、帰り道は神社を通って家。

まずコンビニで好物の菓子、それがじゃがりこなのだかそれを買って食べながら散歩する

夜は静かなのでじゃがりこを食べる音が響く、それがなぜか楽しかった

いつも通りじゃがりこを片手に歩いていると神社に向かう途中の電柱に白い塊が浮いて見えた

最初に言ったように私は霊が苦手だ

ものすごく怯えていたがじゃがりこの音で紛らわしながら帰路についたのを覚えている

翌日もまた懲りずに私は散歩に出かけた

昨日の事を家を出てから思い出したがその時は特に気にしなかった

だが神社にさしかかったときやはり私は後悔した、それと同時にもう散歩は止めようと決意した

昨日のように電柱に白い塊がついていただけならまだ良かったのだがそいつは明らかに人の形を成していた

いつもならじゃがりこがまだ数本は残っているのがその時は空だったというのが散歩中の私の気持ちを表していたのではないのだろうか

今更だが私には彼女がいた

可愛く、性格も良い

客観的にはどうか分からないが

彼女の家は電柱よりじゃがりこ15本食べるぐらい、つまり1キロ近く離れていた

彼女は母親が他界しており、父親はめったに家にいない

そんな境遇もありしばしば夜に私の家を訪ね、勉強を邪魔しにきていた

人の形をしたあれを見てから三日後、この日は私の誕生日なのだが彼女からのメールが来なかった

心配性且つびびりな私は彼女の身になにかあったんじゃないかとずっと不安だったと思う

メールが来るまでは

22:38

sub こんばんわ

本文:誕生日おめでとー

メールじゃ伝わんないと思うから今から愛情伝えに行くよ★ワラ

他人に見られると恥ずかしいメールだが、とにかくこの出来事は伝えたいのでこれは我慢する

いつ来るのか待っていたがなかなか来ない23時を過ぎても、日にちが変わっても来なかった

電話もかけたが出なかったのでおそらく寝たんだろうなと、普段はそう思うだろう

だがその時の私はあの白いやつになにかされたんだとその考えしか頭になかった

そして私は自転車であの電柱まで行く…行っているつもりだった

いくら道を進んでも電柱がない、まずここがどこだか分からない

さらに暗さ、静けさ、それだけで私は恐怖で限界だった

帰ろう、そう決意し、振りむくとあの電柱があった

明らかにさっきの道と違うような気がしたがそんなことはもうどうでも良かった

白いあいつはやはりいた

彼女と一緒に

今来た道を振り返るといきなりそんな光景が飛び込んで来たのだ

わけが分からない

彼女は私を見つけるとゆっくりと何かぶつぶつ言いながら歩いてきた

どうしたのか聞くが返事がない、いや聞こえなかった

口をあけて何か発しようとしていたように私には見えた

だがその瞬間

『ナンデムシスルノ』

とはっきりと彼女の声でそう言ったのだ

こんな状況になるともう逃げ出すしかないだろうと私は後ろを振り向きもせず自転車を全力で漕いだのを覚えている

彼女より自分を優先した私はとても惨めで愚かだったと思う

翌朝、彼女が事故にあったと親から聞かされた

なんでも夜に外出した時車に跳ねられたらしく、運転していた男がすぐ救急車を呼んだらしい

時間は22時30分ぐらいだと

すぐに病院に駆けつけたが病院での彼女は私の問いかけには全て曖昧な返事しかしなかった

大丈夫?

多分

怪我はない?

知らない

名前は?

医師は身体的には全く問題はないので事故のショックでしょうと

また明日来ると約束し翌日病院を訪れるともう彼女は居なかった

問題なかったので父親が連れてかれたと私にそう伝えた

それから彼女には連絡もとれなくなり、家を訪ねても誰も居ない状態

私が彼女を見たというのは時間的に事故の後、事故にあったと思われる時間以降のメール、あれは何だったのか今もずっと疑問にしている

じゃがりこを食べて散歩していたあの道はあれから一度も通っていない

怖い話投稿:ホラーテラー きのこパフェさん  

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