自分が高校生の時の出来事です
私の通ってた高校は美術科、国際科、理数科、人文科と分かれてて、中でも美術科はかなり力が入ってた。
油+水彩、彫塑、デザインがあって私はその中で油+水彩画を学んでいた
今回の話はその美術科恒例の合宿の話。
毎年夏になると
とある山へ2泊3日で合宿へ行っていた
メンバーは美術科先生全員と美術科の1年2年全員。
好きな場所でひたすら1日中油絵を描き続けるという過酷な合宿。
夏の山なんて暑いだけだし
虫はいるし
日にやけるし
最悪。
朝から作業着きてタオルを頭と首に巻いてぼうしかぶって
汗もダラダラで
女としてどーなのって見た目でみんな頑張ってた
まあでもこの高校はほぼ女子校に近い割合で美術科も男は少人数。
1クラス女25人くらいに対して5人くらいだったかな、
だから女の方が立場が上で男にどー見られようがどうでもいい感じなのはあった。
昼になるとそれぞれとれる時間に合宿所で昼食を食べまた暗くなるまでキャンバスに向かう。
山だからってキャンプとか
バーベキューとかそんなご褒美はなし。
時々見回りにくる先生達のダメ出しを聞きながら落ち込みながら最終日の品評会に向けて無我夢中に描きまくってた
でも晩になると灯りがない山では絵は描けない。
暗くなるとさっさとみんな片付け合宿所に集まった
友達と話しながらごはんを食べたりお風呂へ行ったり、
やっと落ちつける時間。
そしてこれからがこの合宿における恒例の行事。
「怖い話大会」
寝る前に全生徒、先生が集会所に集まって1日の反省会をするわけだが
反省会終了後、解散の号令と共にわらわらと座敷の中心に集まり円陣をくむ。
強制ではないので部屋に帰る子もいたが、
(特にまだ怖い話大会が恒例と知らない1年生はほぼ帰る。)
2年はほぼ全員残り1年が数名、
そして10人近くいる先生の中から1人、2人くらいが生け贄となり
円陣の真ん中に強制的に座らされる。
百物語をするほど怖い話を持ち合わせているわけじゃないので持ちネタがある人だけが話をしていく
大体が最後に
「お前の後ろだーっっっ!」
みたいな驚かして終わる系の話が多かった
その度に逃げそうになる先生を見ながら楽しんでいたんだよね
厳しい課題、授業へのストレスを先生を生け贄にすることで発散してたのかも(笑)
↓「合宿①」の続きです
先生もわかっているのか
怒りもせず止めもせず付き合ってくれる。
まぁ基本的皆厳しい人だったけど根は優しい先生ばかりだったんだろう。
数話終わって先生も限界なのかそろそろ遅いし解散しようと言い出し生徒達もしぶしぶ終わろうとした時だった
「すみません…これだけ聞いてもらえませんか?」
大人しく聞いていた1年の1人が弱々しく声を出した。
仲良し3人で残っていたのだろう、怖いのかピッタリと友達にひっついていた左端の女の子が話はじめた。
おなじみの怖い流れなら
この女の子が実は存在しない子で話終わると同時に停電でもおきて明かりがつくとその子は消えてた…的なことになるんだろうなーとか考えながらボーっと私は聞いてた。
第一めちゃくちゃ怖がりな私はこの場にいること自体が不本意だった。
先生へのストレス発散の欲と
友達がかっちり私の腕を掴んでる拘束さえなければ部屋に帰りたいに決まってる。明日だって朝早いんだ。
まぁでも既に限界がきてる先生の行く末見たさにその子の話に集中した。
「浴場のタイルも乾いてたので一番乗りだ!って3人ではしゃいでたんですけど…自分達が座ってた場所の反対側の排水口のフタがガチャガチャ動いたんです…」
う、忘れてた。
この合宿所は毎年何か見たって生徒が少なくない。そしてそれは必ず1年生だけなのだ。
私は1年の時は何も見ることなく終わっていた。
そうかこの子は見ちゃったんだーかわいそうに…と思っていた時更に話はすすんでいた。
それで怖くなって皆で慌ててお風呂から出て急いで集会所へ向かったんです、そしたらまだ誰もいなくってこの部屋も真っ暗だったんです。
広い集会所で待つのも怖いので食堂にでも行こうかと話をしていたらこの部屋の明かりがついたんですよ。
先生が来たんだーっと思って部屋に入ったら1人着物を着た女の人が座ってました
初めはこの合宿所の人かと思って挨拶しようと思ったんですけど何かおかしいって思って、友達も気づいてそこから先に進めなかったんです。
その人真っ白い着物で部屋の角に座ったままずっと真正面見てるんです
私達にはまったく目をやらず
ただ真正面をまっすぐ見たままなんです。
さすがに怖くなって声も出せなくて友達に手を引っ張られてやっと部屋から出て食堂へ向かったら先輩達がいてやっと安心できて…
合宿②の続きです
先輩達や先生達と集会所にきたら付いてた電気も消えてて明かりが付いても今度は誰もいませんでした。
そう…あそこに座ってたんですちょうど私達が座ってる場所を見てる感じに…
すっと後輩が指さしたのは先生の背後ー
先生の真正面に座ってた私の対角線上にある場所だった
「ひい…っっっっ!!」
大御所先生の情けない裏返った声に即され
あちこちで悲鳴があがった
「解散!解散!解散!」
若干腰抜けたような変な姿勢で新任の先生が声を上げた
「今日はここまで、明日も早いんだからもう寝なさい!」
ね、先生?と急に振られた大御所先生もカミカミな言葉で解散を即した
話を終えた1年の子達は皆に聞いてもらって安堵したのかさっさと帰り始めていた。
冗談じゃない。こわい。
自分の背後を指さされた先生も怖かったろうが
その1年が見たという女と目が合う位置に座っていた私は気が気じゃなかった。
すみません続きます
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話